Sports Graphic NumberBACK NUMBER

<対話から見えたもの> 本田圭佑 「限りなき前進の理由」 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byAtsushi Kondo

posted2011/09/20 06:00

<対話から見えたもの> 本田圭佑 「限りなき前進の理由」<Number Web> photograph by Atsushi Kondo
「ブラジルW杯では、優勝を目指している」
そう公言している男は、その壮大な目標に向かって、
何を考え、どのような試行錯誤を行なっているのか。
モスクワで直撃取材を繰り返している筆者が、
彼との議論のなかから見えた進歩の足跡を描く。

 本来、このタイミングであれば、ケガの話、そしてエース不在で臨んだW杯予選の話をすべきだろう。北朝鮮戦も、ウズベキスタン戦も本田圭佑がいなかったことで、明らかに日本代表の攻撃は手詰まりになっていた。

 だが、そういう短いスパンでの出来事より、日本が本気でW杯優勝を目指すために、ぜひ知ってほしい本田の“進化”がある。

 約3カ月前のことだ。

 6月22日のCSKA対ロコモティフのモスクワダービーを記者席から観ていて、鳥肌が立つような驚きを覚えた。本田が今までにないような発想を持ってプレーしていたからだ。

 本田と言えば、パワーと技術を生かして、相手に囲まれてもボールをキープできるのが大きな武器だろう。ただ、ひとつ欲を言えば、ぶつかられてもキープできるだけに、フリーになろうとする動きが少ない印象があった。相手を外す動きが不足していた。

 だが、この日は違った。

 首を何度も振ってまわりを見てポジショニングを修正し、相手に近づきすぎるとバックステップを使って間合いを広げる。また、パスを受ける直前に、相手の重心を揺さぶるようなアクション(たとえば左に行くと見せかけて、右に行く)をしてフリーになっていた。首を振る回数、バックステップの回数、パスコースに顔を出す回数……。どれもが格段に増えていた。

 まるでバルセロナに数カ月留学したかのように――。

元日本代表の風間八宏が提唱した「ボールの受け方」の理論。

 実はこのダービーの2日前、CSKAの練習場で、筆者はあるサッカー論を本田に投げかけていた。「現代サッカーでは、こういうボールの受け方が鍵になっている」と。

 以下、本田に伝えた内容を、そのまま書いてみたい。

 もともとこの理論を提唱したのは、元日本代表の風間八宏だ。

 今年1月、九州で行なわれたチャリティーマッチで、中田英寿のチームの監督を務めることになり、風間は試合前日に1度だけ、練習を指導した。

 監督として要求したのはひとつだけ。「足元にパスを出せ」ということだ。

【次ページ】 中田と藤田俊哉のパス回しに風間のダメ出しが続く。

<< BACK 1 2 3 NEXT >>
1/3ページ
関連キーワード
本田圭佑
CSKAモスクワ

ページトップ