SCORE CARDBACK NUMBER

西岡利晃は現代の聖地で
メキシカンを倒せるか。
~世界Sバンタム級王座を懸けて~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

photograph byAFLO

posted2011/08/27 08:00

これまでの45戦で、メキシカンとは9度戦い無敗。西岡自身も「得意です」と語っている

これまでの45戦で、メキシカンとは9度戦い無敗。西岡自身も「得意です」と語っている

 ラスベガスは現在世界ボクシングの「聖地」であり「首都」である。'60年代前半まではMSG(マジソンスクエアガーデン)を抱えるニューヨークが王者だったが、'80年代以降はすっかりその座を取って代わられた。今や大試合の舞台はMSGよりMGMグランドである。

 ラスベガスにはボクシングがよく似合う――とひらめいた興行師たちはなんと抜け目のなかったことか。巨大カジノ・ホテルの大集客手段として、次々とメガ・ファイトが組まれ、注目の好カードはそのまま賭けの対象ともなる。ボクサーの誰もがここで戦いたがる時代である。

 そして、いよいよ西岡利晃に出番が回ってきた。10月1日、ほぼ同年齢の元世界王者ラファエル・マルケスと、これまで6度防衛してきたWBC世界S・バンタム級王座を懸けて対決する。11月にパッキアオと三たび対戦するフアン・マヌエル・マルケスの2歳下の弟である。36歳と若くはないが、40勝36KO6敗の強打は侮れない。米国で何度も死闘を演じ、世界王者の肩書きがなくとも名前でチケットが売れる選手のひとりである。

ラスベガスで名を挙げるにはメキシカンを倒さなければならない。

 年輪を重ねるごとに進化をとげてきた驚異のボクサー西岡も、目指す究極のボクシングに近づき、「最終章に入った」と自らも認める。そんなところで決まったこの一戦。「ラスベガスで名前のある相手と、しかもメインでやれるなんてワクワクします」と西岡は歓迎する。過去、この地での2戦2KO勝ちは、いずれも前座だった。今度はメイン、しかもここで防衛戦を行なう初の日本人世界王者となる。ワクワクしないはずがあるまい。

 だが試合のオッズは西岡に不利の数字が出るとみられる。ラスベガスのボクシングはメキシカンの観客なしに成り立たない。西岡にはアウェイも同然。ここで名を挙げようと思えば、まずはメキシカンを倒さなければならない。パッキアオはそうしてメキシカン・キラーとなり、不動の地位と財産を手に入れた。西岡も、メキシコでジョニー・ゴンサレスを一撃でしとめ、今度マルケスを同じように沈めることができれば上出来だ。ゴンサレスの右ストレートに一瞬フロアに落ちた西岡は、立ち上がって逆転KOに繋げたが、もしマルケスの強打をよけ損なうと、ダウンだけではすまないかもしれない。地雷原を進む慎重さで戦うことになろう。

■関連コラム ► なお進化を遂げる西岡、30代世界王者の充実度。~Sバンタム級6度目の防衛へ~
► 西岡の海外防衛戦が示すボクシング界の台所事情。~海を渡る日本人王者の時代~(09/06/16)

言わせろ!ナンバー あなたのご意見を聞かせてください!
► <夏休み企画> プロ野球、あなたが“スゴイ!”と思った応援は?

 

ページトップ