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飲酒&薬物依存に陥った
ゴールデンボーイの憂鬱。
~デラホーヤは立ち直れるのか?~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byGetty Images

posted2011/09/22 06:01

飲酒&薬物依存に陥ったゴールデンボーイの憂鬱。~デラホーヤは立ち直れるのか?~<Number Web> photograph by Getty Images

 強拳を武器に一生遊んで暮らせるだけの金を稼ぎ、引退後は人も羨むセレブな生活を送っていたはずの元チャンピオンが、意外なトラブルに見舞われていた。史上最多の6階級で世界を制し、今はプロモーターとして活躍中のオスカー・デラホーヤが、アルコールと薬物依存症を克服するためリハビリ施設に入っていたというのだから衝撃的である。

 ヒールのマイク・タイソンとは対極に位置する正統派のヒーローとしてボクシングファンに親しまれたデラホーヤは、最初から「持ってる男」だった。ボクサーとしては天才。負けを恐れぬ勇気が数々の名勝負を生み出し、リングで稼いだ報酬だけでも500億円近いといわれる。

 引退後“燃え尽き症候群”で新たな生き甲斐を見出せない元王者も多いなか、デラホーヤは現役時から自分のニックネームを冠した興行会社「ゴールデンボーイ・プロモーション」を設立し、富と名声をフルに利用してスター選手と契約を交わした。また、'04年の対戦で初めてKO負けの屈辱を味わわされたホプキンスを会社のパートナーに迎えるなど、従来のボクサーにない「事業家」のセンスで興行界の成功者になろうとしていた。

「自殺を考えたこともある」と仰天の告白も。

 それが今回のスキャンダルである。エリート街道まっしぐらと見えたゴールデンボーイも、実は人間的な弱さを持つひとりの青年だったことが露わになった。試合前の不安を酒でまぎらわせ、これがエスカレートして依存症になったという。コカイン濫用は最近というが、「自殺を考えたこともある」という仰天の告白もしている。タイソンと違い常に優等生でいなくてはならないのは相当なストレスだろうと同情したくもなる。

 時にハメを外すのも人間的でいいではないかとも思うのだが、ストリッパー相手に乱痴気騒ぎをして、女性の下着をまとった写真を撮られ、まずい対応をして裁判を起こされ、大金を払わされるかもしれないというから、クールな二枚目も形なしである。別居していた夫人に「不誠実だった」と謝罪したと聞いて、タイガー・ウッズに起こった出来事を思い浮かべないわけにはいかない。

 すでにプロモーターとして戦線復帰こそ果たしたものの、かつてのファンもさぞ失望したであろう今回のスキャンダルから、どう立ち直るつもりなのか。

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