対談:激動の欧州リーグ、今年の見所
~セリエA&日本人プレイヤー篇~

細江克弥 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Katsuya Hosoe

photograph by PICS UNITED/AFLO(L),Getty Images(R)

対談:激動の欧州リーグ、今年の見所~セリエA&日本人プレイヤー篇~

今季のCLではヴォルフスブルクとチェルシーが面白い。

横井 僕はヴォルフスブルクに期待しています。先ほども言いましたけど、リーグ戦を捨ててチャンピオンズリーグに専念すれば、上位進出は狙えるかと。今季に関してはプレミア勢が上位を独占するということは考えにくいので、いわゆる伏兵にも大きなチャンスがあると思います。

原田 僕は、伏兵ではありませんが、チェルシーに期待しています。'07-'08の決勝をモスクワで見て、やはり「初めて決勝に進出するチームが勝てるほど甘くない」と痛感しました。彼らはあの経験を体で覚えているうちに、活かさなければならない。そういう意味では、彼らもあの経験から“目には見えない力”を得たのではないかと。当時の戦力が経験・実力ともピークを迎えている今季がチャンスだと思います。

 欧州サッカーの新シーズンを展望する上で、日本人選手の動向を軽視することはできない。オランダで存在感を誇示する本田圭佑、突然の渡伊から4年目を迎え、カターニャのエースに成長した森本貴幸。そして、松井大輔、小野伸二、稲本潤一、水野晃樹、相馬崇人……。欧州で戦い続ける彼らが、日本サッカー界にもたらす財産とは。

横井 本田圭佑は開幕から4試合連続ゴールですか……。完全に覚醒しましたね。この勢いを保ち続ければ、来シーズンはビッグクラブにいるかもしれません。早ければ冬の移籍市場で、という可能性も十分にあり得ると思います。継続的に見ると非常に面白いタレントだと思います。

原田 オランダだけじゃなく、日本代表で出場機会を増やせばイングランドでの労働許可証も発行されやすくなる。現時点での注目度を考えると、ビッグクラブへの移籍に最も近い存在と言えるかもしれません。彼は「自分の個性を売る」ということを十分に理解しているし、アピールする術を持っている。横井さんは中村俊輔について「あと2、3年早くスペインに来ていれば」とおっしゃいましたが、そう言う意味では、まさに絶好のタイミングで最初の挑戦権を得られるかもしれない。

ビッグクラブに行けるか? 本田同様、森本も今年が勝負。

写真16歳でヴェルディでプロデビュー後、18歳でカターニャへ行った森本貴幸。以降、膝の怪我を乗り越え活躍し、今季開幕戦でも得点を決めている

横井 そうですね。まずは、いかに早く最終目的地に到着するかが非常に重要だと思います。本田と同様に、森本貴幸もそろそろステップアップすべき時期に差し掛かっている。逆に、このタイミングを逃してしまうと、ズルズルと“並”の選手になってしまいかねない。

原田 現時点での森本を成功例とすると、やはり10代半ばでイタリアに渡って、下部組織からキャリアをスタートさせることの重要性を物語っていると思います。特にFWは自分のスタイルや個性を周囲に理解してもらわなければ、使ってもらえない。彼はそうしてレギュラーポジションをつかむまでに成長したわけですから、今季はステップアップするための絶好のチャンス。幸い、新監督も森本をレギュラーと考えているようですし。

横井 そうですね。今季、“欧州で活躍する日本人”というテーマでは彼らが話題の中心となる気がしますが、個人的には、小野伸二や稲本潤一の存在も忘れてはいけないと思います。彼らのような存在がいるからこそ、次の世代が欧州の舞台を目指せる。決して大きなニュースにはならないかもしれませんが、日本サッカー界にとってはすごく大きな意味を持っていると思います。彼らにはぜひ、欧州の舞台で戦い続けてほしいですね。それに、スカウトの目というのは僕たちが想像しているよりもはるかに広範囲にまで届いています。つまり、本田や森本よりも早く、彼らがビッグクラブで活躍する可能性は決してゼロではない。

 前・後編にわたってお届けした両ジャーナリストの対談はこれにて完結。果たして、激動の1年が予感される欧州サッカー界の2009-10シーズンには、どんな結末が待っているのか。予想を裏切り、サッカーファンの魂を揺さぶる至極のドラマに期待したい。

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