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ドラフト上手な球団はどこだ 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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posted2006/10/03 00:00

ドラフト上手な球団はどこだ<Number Web> photograph by AFLO

 先に行われた高校生ドラフトをあれこれ言う前に、'01〜'05年までに獲得した高校生の活躍度はどうなのか見ていこう。

◇日本ハム……鎌倉健、ダルビッシュ有

◇中日……高橋聡文

◇西武……中村剛也、栗山巧、涌井秀章、炭谷銀仁朗

◇阪神

◇ソフトバンク……寺原隼人、神内靖

◇ヤクルト……高井雄平

◇ロッテ……今江敏晃、西岡剛、成瀬善久

◇巨人……真田裕貴、林昌範、西村健太朗

◇オリックス

◇広島……大竹寛、大島崇行、松本高明

◇楽天&近鉄……朝井秀樹

◇横浜……秦裕二、吉村裕基

 及第点をやれそうな選手を球団ごとに挙げてみた。ドラフト上手の順番をつければ、(1)西武、(2)ロッテ、(3)日本ハム、(4)巨人、(5)広島、 (6)ソフトバンク、(7)横浜──ということになりそうだ。1人もいないのが阪神、オリックスの2球団。結論から先に言えば、いくら好素質の高校生を獲得しても、一、二軍の指導者が抜擢しない限り、彼らは宝の持ち腐れ状態になる。そういうことに関係なく通信簿をつけてもあまり意味がない、ということをまず断っておく。

 さて、指名された選手だけに注目すると、4球団が1巡目で競合した田中将大(駒大苫小牧高・投手)が今年の世代ではナンバーワンの実績と(現段階での)実力を持つ。楽天は田中を獲得できただけで満点をやれるのだが、若さが足りない球団がどうして2人だけの指名で終わったのか、戦略面で疑問が残る。

 増渕竜義(鷲宮高・投手)にはヤクルトと西武が1巡目で競合し、ヤクルトが抽選勝ちした。球持ちのよさ、ストレートの球威とキレ、変化球(スライダー、シンカー)のキレなど、どれを取っても一級品。ヤクルトはさらに3、4巡目で上田剛史(関西高・外野手)、山田弘喜(城東工・投手)という好選手の交渉権を獲得、満点に近いドラフトを展開した。あとは一軍への抜擢に躊躇しないことだろう。

 高校生の抜擢に躊躇しない西武は、木村文和(埼玉栄高)、朱大ヱ(中部第一高)という未完の大器2投手を獲得した。阪神やオリックスだったら「時間がかかる」と書くが、12球団で最も高校卒選手を育成するのがうまい西武だけに低い点数はつけられない。

 ロッテも育成と抜擢に定評があるが、今年は1巡目で指名した大嶺祐太が入団を拒否する可能性がある。もしそうなったら大学&社会人ドラフトで希望枠を行使しなかったわけだから、全体の評価はガタ落ちになる。そもそもこの球団は、バレンタイン監督に権力を集中しすぎる。“シビリアンコントロール”を取り戻すことが先決だろう。

 広島は1巡目で即戦力の期待もかかる大器、前田健太(PL学園・投手)を競合なしで獲得できたことが余りにも大きい。以前ほど抜擢に積極的でない広島が前田をどう扱うか、非常に興味がある。

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