WBC日本代表として連覇に貢献。今季は自己最速となる155キロを投げ、リーグ2位タイにしてチームトップとなる15勝を記録した

楽天を“闘う”チームに成長させた、
田中将大の「人を惹きつける力」。

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text by Kei Nakamura

photograph by Hideki Sugiyama

楽天を“闘う”チームに成長させた、田中将大の「人を惹きつける力」。

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
野村克也
田中 将大
東北楽天ゴールデンイーグルス

 先日、楽天の田中将大の契約更改が行われ、1億8000万でサインしたと伝えられた。

 わずか3年でここまできた。入団4年目の年俸としては、日本プロ野球史上、ダルビッシュ有(日本ハム)の2億円に次ぐ2番目の金額だ。

 しかし、それも納得だ。

 今季、2位と躍進した楽天の快進撃の秘密が、さまざまな媒体で、さまざまな角度から語られた。ただ、絶対要素は何かと言えば、それは田中しかいない。'07年、田中が加入していなかったら、今の楽天はありえなかっただろう。

 その証拠に、田中の成績と楽天の成績は、不思議なほど連動している。

 2005年に誕生した楽天は、2年連続で最下位に甘んじた。しかし、'07年、新戦力の田中が11勝を挙げると、初めて最下位から脱出し、4位に食い込む。翌'08年、田中は途中、北京五輪で抜けたことなどもあり9勝どまり。するとチームも5位とわずかに後退。そして今年だ。15勝と飛躍すると、チームも一気に2位にジャンプアップした。

田中が全身から発する闘争心が楽天を変えた。

 もちろん、勝利数だけではない。それらの数字を生んでいた田中のメンタリティーにこそ、田中の本当の価値がある。

 入団当初、よくチームリーダーの山崎武司が話していたものだ。

「あんなに若い選手が、あれだけ気持ちを前面に出してがんばってるんだから。俺たちがやらないわけにはいかない」

 田中と同期入団の捕手の嶋基宏も言う。

「彼は、目に見えるボールもすごいけど、それ以上にすごいのは目に見えない部分。人を惹きつける力がすごい。あれは練習してできるもんじゃない」

 入団1年目、監督の野村克也が、大量失点しても味方が援護し不思議と負けがつかない田中のことを「神の子、不思議の子」と評していたが、それも不思議なわけではなく、田中が発するエネルギーがそうさせていたのだ。

 彼の最大の功績は、チームを変えた、ということだ。

 田中が入団したばかりの頃、野村はまだ「楽天の選手は大人し過ぎる」とぼやいていたものだが、田中が一本立ちして以降、そのようなことはまったく言わなくなった。彼の闘争本能がチームに注入され、浸透していったのだ。楽天が無色であったということがチームにとっても彼にとっても幸いした。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  同年代の投手のなかで田中ひとりが突出している理由。

筆者プロフィール

中村計

中村計

1973年千葉県出身。ノンフィクションライター。某スポーツ紙を経て独立。『Number』(文藝春秋)、『スポルティーバ』(集英社)などで執筆。『甲子園が割れた日 松井秀喜の5連続敬遠の真実』(新潮社)で第18回(2007年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。他に『佐賀北の夏』(ヴィレッジブックス)、共著に『早実vs.駒大苫小牧』(朝日新書)などがある。『雪合戦マガジン』の編集長も務める。趣味は、落語鑑賞と、バイクと、競艇。


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