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ハッピーエンドのストーブリーグ 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/12/25 00:00

ハッピーエンドのストーブリーグ<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 たった1年でマクラーレンと袂を別ったアロンソがルノーへ復帰し、入れ替わるようにルノーからコバライネンがマクラーレンに移籍。これで今年のストーブリーグはほぼ終幕となった。

 アロンソのルノー復帰の発表があったのは12月10日で、それまでに移籍先としてレッドブル、ホンダ、トヨタなど様々な噂が飛び交っており、それらはあながち眉唾ではなかったにしても、アロンソの腹は最初から本命はルノーと決まっていたようだ。

 問題になっていたのは契約年数らしく、多くの情報を総合するとアロンソはごく近い将来のフェラーリ移籍を視野に入れて1年契約を望んだらしいが、ルノーとしてはそれでは投資効果が少ないとして3年契約を主張。交渉の結果、どうやら“中を採って”2年となった模様だ。様々批判はあるにせよ、アロンソはF1になくてはならぬ看板役者。浪人とならず古巣に戻ったことは、ファンのためにもベターな選択ではなかったろうか。

 そのアロンソを迎え入れるルノーだが、ナンバーツーにはエルシーニョ・ピケを抜擢。上記のようにコバライネンがマクラーレンに移籍し、ベテランのフィジケラはシートを探さなければならない立場に追いやられた。

 フィジケラの残されたシートはフォース・インディア(旧スパイカー)くらいしかないが、この最下位チームにフィジコが加入するとは考えにくく、ラルフ・シューマッハーと同じく“自然引退”の道を辿ることもじゅうぶんありうる。ラルフ、フィジケラとも優勝経験もあるベテランだけに高給取り。それがブレーキとなって、いったんトップクラスのシートを失うと再就職が難しいこと、世間一般の事情となんら変わりはない。

 さて、チャンピオンのアロンソが抜け、来季はハミルトン+コバライネンのグランプリ2年生コンビで戦わなくてはならなくなったマクラーレン。果たして新王者ライコネン、王座復帰を目指すアロンソら海千山千の猛者と正面切って戦えるのかどうか不安材料も少なくないが、マクラーレンの若手二人には大きな武器がある。完走率の高さである。

 全17戦の2007年シーズンでリタイアを喫したのはハミルトン、コバライネンとも1戦のみ。コバライネンのリタイアは最終戦ブラジルで、それまで16戦連続完走。惜しいレースを落としてしまったが、それでも来季ハミルトンのバックアッパーとしてこれほど頼もしい存在はまたとない。コバライネンがシーズン唯一奪った表彰台(2位)は2007年最悪のコンディションとなった日本グランプリで、同郷の先輩ライコネンの最終ラップまで続いた激しい追撃を振り切ってのもの。このレースの優勝はハミルトンだったから、来季マクラーレンの2年生コンビがどんなレースをやってのけるか、その予告編だったと振り返ることもできよう。

 そうしてみると来季アロンソ+ピケの新体制で戦うルノーは、序列がハッキリしたという点では評価できるもののナンバー2がF1経験がない分、チームの総合力としてはフェラーリ、マクラーレンに見劣りすると言わざるを得まい。来季序盤ではBMWに適わないことも考えられる。

 旧チャンピオン、新チャンピオン、そして未来のチャンピオンを狙う逸材らがそれぞれ居るべき位置についた2007年シーズンオフ。アロンソとコバライネンの移籍でF1ジグソーパズルがほぼ完成した。来年のチャンピオン争いのあれこれを想像しながら、クリスマスを迎えるF1ファンの想いはまさしく「ハッピーエンド」なのではなかろうか。

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