佐藤琢磨 グランプリに挑むBACK NUMBER

セッティング 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2006/08/30 00:00

セッティング<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 イスタンブール・パーク・サーキットに、佐藤琢磨が渇望するキットパーツが届いた。新車SA06がその完成形のSA06“B”となるために必要な最後のアッセンブリー、新フロント・サスペンションである。

 「新しいサスペンションを装着することで空力的には高速コーナーが、メカニカル・グリップ的には低速コーナーでのポテンシャルが向上してマシンのグリップ感が上がり、乗りやすいマシンになると思います」と、琢磨。

 「ハンガリー後の夏休みはずっとモナコの自宅に居て、家の片付けなどをしていたのですが、先週の火曜日にシルバーストンでシェイクダウン・テストする予定だったんです。ところが、パーツの外注先の工場に雷が落ちてパーツに穴が開き(笑)、月曜日に『難しいかも』と連絡が入って、火曜日にやっぱりダメだから来なくていいということになりました」

 そのためチームは急遽トルコ・グランプリの金曜日試走でモンタニーのサードカーに新サスペンションを装着して走らせ、そこで見通しが立てば琢磨車にも装着するという手はずを採った。

 結果は良好で、モンタニーは午後の試走で16位のタイムをマークしたことで新フロント・サスペンションは琢磨車にも装着。土曜日午前中は「新サスペンション効果でクルマが乗りやすくなりました」といい、明らかな効果があったことが琢磨自身によって確認された。

 ところが土曜日午後の予選では最後のアタックで名物コーナー“ターン8”を飛び出し、最下位。これは完全なメカニカル・トラブルで「走り出してすぐ、何かがおかしいと気が付いたんですが、もう3コーナーあたりから車速が伸びず『困ったな』と思っていたら飛び出しました」と琢磨。ピットまでなんとか戻って来たマシンを見るとフロア(マシン底板)に大きな穴があいており、どうやら強いダウンフォースがかかったことで、カーボンファイバーの積層部が剥がれたようだ。

 「でも、明日は大丈夫ですから」と、琢磨は最後尾に終ったこと自体はそれほど落胆していないようだった。

 しかし、決勝はさんざん。山本左近を抜き、ミッドランドを抜いて1コーナーにさしかかった瞬間、左後ろからミッドランドが激しく追突。ゆっくりとピットに戻った琢磨車はカウルやフロア交換の応急修理を受け、15周遅れで戦列に復帰。周回数不足で完走扱いにはならなかったものの、新車のための多くのデータをチームにもたらした。

 「新車のポテンシャルは明らかに上がってます。ただここまで来ると、新しいパーツをつけたからっていって即速さにつながるというものではなく、ちゃんとセッティングしてやらないといいところと悪いところが出る」

 そのセッティングを煮詰めるために佐藤琢磨は、モンツァで3日間の合同テストに入る。

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