佐藤琢磨 グランプリに挑むBACK NUMBER

スクラップ&ビルド 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2006/09/13 00:00

スクラップ&ビルド<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 「先週、ここモンツァでシーズン中初めてのテストに参加しました。予定は3日間だったのですが、正味2日間。初めて組んだテストチームで、サスペンションを飛行機の手荷物扱いで運んだりしてクルマを組み上げるのにもの凄く時間がかかりましたが、走り込んだ結果、明日は午前中からキッチリ走れると思いますよ」

 イタリア・グランプリ週末の木曜日、試走を明日に控えた佐藤琢磨は時に笑いを交えながら、モンツァの展望を語った。

 前戦トルコ・グランプリでは見つからなかったマシンの問題が浮かび上がったり、マシン後部の冷却方法に新たに課題が見つかったり、実り多いモンツァ・テストとなったわけだが、トルコで問題になったマシンのフロアが落ちるトラブルも「マークIIになってもう大丈夫(笑)」と太鼓判を捺した。

 初日・金曜日の試走は琢磨が予言したように「トラブルフリー」だったことが事前テスト参加効果を如実に表わしていたが、パフォーマンス的にもサードドライバーのモンタニーが10番手のタイムを記録するなど、これまでのどのレースより予選に期待がかかる走り出しとなった。

 金曜日の9月8日は、奇しくも鈴木亜久里オーナーの46回目の誕生日で「モンタニーの10位のタイムがなによりのプレゼント」と、相好を崩し放しだった。

 もっとも予選は定位置の佐藤琢磨21位、山本左近22位。しかし琢磨は「ミッドランドに1秒離されてポジションは良くないですけど、実力は出し切れました。予選も大事なんですけど、レースペースでのマシンのバランスがいいですから、明日はミッドランドと同じペースで走れると思います」と、表情の明るさは変らない。鈴木亜久里オーナーも「トップの2.5秒落ちだからね。ついこの間まで6秒、7秒離されていたんだから上出来だよ」とご機嫌。

 だが、決勝レースはドタバタで始まり、ドタバタで終った。

 決勝グリッドに着く前のウォームアップ・ランで琢磨車に油圧系のトラブルが発生。急遽スペアカーに乗り換えてピットスタートとなったのだ。

 最後尾からレースを始めた琢磨は、それでも「意外に速くて(笑)」1分25秒〜26秒台の快調なペースでラップを刻み、ミッドランドとの差も徐々に縮まって来ていた。

 ところがその矢先「マシンがおかしくなってレズモで1秒、アスカリで1秒、パラボリカで0.8秒ロス……」するような状態に陥ってしまった。琢磨は最初「リヤの挙動がおかしくなったので、リヤ・サスペンションが壊れたか、あるいはタイヤがパンクしたかと思った」と言うが、症状としては明らかにダウンフォースの激減。レース後判明したのは「フロアがまた剥がれた」ことであり、また、給油孔のフラップが開きっ放しになった状態で走ったのも、空力的には大きなロスとなった。

 前週のモンツァ・テストの成果も最後は霧散したわけだが、だからといってテストが無駄というわけではない。スクラップ&ビルドがこの世界の常識である。

 「来週のシルバーストン・テストに期待します」

 次戦中国、そして日本グランプリはそのシルバーストンがにぎっている。

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