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ブンデスで甦る“東欧のブラジル”。
~ドイツと旧ユーゴの濃密な関係~ 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2009/11/12 10:30

ブンデスで甦る“東欧のブラジル”。~ドイツと旧ユーゴの濃密な関係~<Number Web> photograph by Uniphoto Press

若手主体のボスニア・ヘルツェゴビナ代表。トルコ、ベルギーを制しての予選2位は見事

 2010年W杯の組み合わせ抽選まで、1カ月を切った。ヨーロッパ大陸のW杯予選も、プレーオフを残すのみだ。ブンデスリーガでは旧ユーゴスラビアの選手が以前から何人もプレーしていたが、90年代初頭からおよそ10年続いたユーゴスラビア内戦と1989年のベルリンの壁の崩壊の影響から、若い才能が数多くドイツでプレーするようになった。ブンデスリーガで育った旧ユーゴの選手たちが、W杯予選でも躍動している。

 クロアチアはウクライナに勝ち点1及ばずプレーオフ進出を逃したが、セルビアはすでに本大会出場を決めている。ボルシア・ドルトムントのネベン・スボティッチ(20)やVfBシュツットガルトのズドラフコ・クズマノビッチ(22)、ヘルタ・ベルリンのゴイコ・カチャル(22)など、若い選手たちがセルビア代表でプレーしている。

 ロシアと本大会出場をかけてプレーオフを戦うのは、スロベニアだ。スロべニア代表には1FCケルンでプレーするDFミソ・ブレコとエースFWミリボエ・ノバコビッチ、VfLボーフムのFWズラトコ・デディッチなどが名を連ねる。

欧州予選プレーオフの見所は「ブンデスリーガ対ロナウド」!?

 そして、代表チームがすでに本大会出場を決めているここドイツで最も関心を集めているのが、ポルトガル対ボスニア・ヘルツェゴビナのプレーオフだ。

 ポルトガルにクリスティアーノ・ロナウドがいるからではない。ボスニア・ヘルツェゴビナに、ブンデスリーガを代表する選手がひしめいているからだ。『南ドイツ新聞』は、両チームの対戦が決まったとき、

「ブンデスリーガ対ロナウド」

と見出しを打った。

チームの要はブンデスリーガで名を馳せる「兄弟」。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ代表で攻撃の鍵を握るのが、昨季ドイツチャンピオンのVfLヴォルフスブルクでプレーする2人。互いに「兄弟」と認め合うエディン・ジェコとズヴェズダン・ミシモビッチのコンビである。

 ジェコは昨季の得点ランキング2位に輝いたストライカーで、昨オフにはACミランを始めとする複数のビッグクラブが獲得を目論んだ逸材だ。先日のCLベシクタシュ戦でも、体を張ったポストプレーやディフェンスラインの裏へ抜ける鋭い動き出しで、相手選手たちを翻弄し続け、マンオブザマッチに選ばれた。ジェコは、兄と慕うミシモビッチとの関係を誇らしげに語る。

「僕らはヴォルフスブルクでも代表でも、この2年間一緒にプレーしてきた。彼は僕のことを、僕は彼のことをよくわかっているんだ。僕が走り出すと、必ずやそれを見ていて、素晴らしいパスを出してくれるのさ」

ボスニア・ヘルツェゴビナ代表には最高のチームワークがある。

 ヴォルフスブルク、そしてボスニア・ヘルツェゴビナでトップ下を務めるのがミシモビッチ。リーグのアシスト王である。ミュンヘンで生まれた彼はバイエルン・ミュンヘンの下部組織で育った。バイエルンを離れてからは目立った活躍は出来なかったが、昨季ヴォルフスブルクに移ったことで、その才能を開花させた。さらに、今季に入ってからは、アシストだけでなくゴールでもチームに貢献している。MFながらリーグ2位タイの6得点を決めているのだ。

 ミシモビッチは、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のチームワークは特別なものがあるという。

「今のメンバーの多くが、U-21のころから一緒にプレーしてるからね。固いきずなで結ばれているのさ」

<次ページに続く>

► 【次ページ】  ホッフェンハイムを支えるコンビにも注目。

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