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リッピは暴君か、賢帝か?
アズーリをめぐるイタリア大論争。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2009/11/14 08:00

リッピは暴君か、賢帝か?アズーリをめぐるイタリア大論争。<Number Web> photograph by Getty Images

欧州予選を無敗で突破。イタリア代表率いるリッピはますます意気軒昂だが

 南アフリカW杯で王座防衛に挑むリッピの手の内が明らかになってきた。惨敗に終わった今夏のコンフェデ杯以降、急務となっていたイタリア代表建て直しのためにリッピの出した答えは、古巣ユベントスからの大量招集だった。

厳然たる存在感を示す「ユーベ・ブロック」とは?

 現在のアズーリには「ユーベ・ブロック」と呼ばれる8人のユベントス選手がおり、彼らはそのまま本大会メンバー入りする可能性が高い。イタリアは連覇に向け、他の欧州列強や南米2強とは明らかに別路線のチーム作りをしようとしている。

 欧州予選を無敗通過したアズーリの中核となっている「ユーベ・ブロック」には、主将カンナバーロをはじめ、GKブッフォン、MFカモラネージなどドイツ大会優勝メンバーも顔を揃える。今季リヨンから移籍したSBグロッソは、9月のブルガリア戦の招集でクラブ史上124人目のイタリア代表となった。その圧倒的な数字が示すように、歴代のイタリア代表におけるユベントス勢の存在感は無視できないものがある。

イタリア国民が抱くユーベへの思いを選考に転用。

 現在の過密スケジュールの中で、各国代表選手とその監督が共有できる時間は極めて限られている。ボスマン判決以降、その傾向はさらに強まった。軸となる数人を決め、ポジションごとに複数のオプションをピックアップし、チーム全体の構成バランスを重視するのが代表招集のセオリーだが、リッピはあえてその潮流に逆らい、イタリアの先人たちの方法論に倣った。

 1934年の自国W杯開催でイタリアを初優勝させた指揮官ポッツォはユーベ勢9人を招集し、4年後のフランス大会で連覇を達成。1978年のべアルゾット監督が重用したGKゾフら9人は、4年後のスペイン大会優勝への礎を築いた。当時のユベントスはイタリア国民にとって“オールスター・チーム”であり、今も残る“ユベントス≒(ほぼイコール)イタリア代表”の根強いイメージはこのときに固まった。リッピは嘯く。

「同じクラブでプレーする選手たちを代表でも起用することはアドバンテージだ。本大会メンバー選考も楽になる。そのチームがユベントスだというのは単なる偶然だ」

 欧州予選終盤の数戦で試されたユーベ・ブロックはある程度機能し、一定の評価を得た。本大会出場を決め、12月の組合せ抽選でも第1シード入りすることがほぼ確定。来年3月にはブラジル人FWアマウリが、イタリアのパスポートを取得予定で、彼が9人目のユベントス選手としてアズーリ入りすることは確実視されている。

<次ページに続く>

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