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4強時代 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/04/24 00:00

4強時代<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 F1開幕フライアウェイ3戦がバーレーンで終わり、序盤戦は3人の勝者が生まれた。

 ライコネン、アロンソ、マッサの3人で、フェラーリ・ドライバーが二人、マクラーレンがひとりだが、ドライバーズ・ランキングはちょっと面白いことになっている。

 アロンソがトップ、ライコネン2位、ハミルトンが3位。マッサは4位なのだが、トップ3人は22点で同点。なのに順位がついているのは上位入賞の数による。同じ1勝同士でもアロンソはライコネンにない2位があり、ハミルトンには優勝がない。

 コンストラクターズ・ポイントをみるとマクラーレンが5点差でわずかにフェラーリをしのいでいるが、これはマッサが1戦、2戦と続けて表彰台をはずしたことに加え、第2戦でマクラーレン勢のワン・ツーがあったからで、速さという点からみれば、3戦すべてでポールポジションを奪ったフェラーリがマクラーレンを一歩リードしているといえよう。

 いずれにしてもポスト・シューマッハー時代が、コンストラクターの“2強”は昨年と変らないにしても、ドライバーで“4強”となっているのが大きな変化で、文句なしに面白い。3戦してフェラーリ2勝、マクラーレン1勝というのもほぼ予想どおり。これで5月なかばからのヨーロッパ・ラウンドも退屈せずにすみそうだ。

 ところで“2強”はさておき、それ以下はどうか?

 きわだっているのはBMWの躍進と、昨年のチャンピオン・チーム、ルノーの地盤沈下である。3戦を終えてBMWが18点でランキング3位なのに対して、ルノーはちょうどその半分の9点で4位。開幕ダッシュで大きな差がついた。

 BMWはハイドフェルドが3戦連続4位と見事な戦績で、特にバーレーンではアロンソをコース上でオーバーテイク。ライコネンさえできなかったことをやってのけたことを見たあるフェラーリのスタッフはズバリ「キミは眠っていた」と名指しで非難したという。

 かたやルノーは第1、2戦の6位が精一杯。予選でも最上位が第3戦のフィジケラの7位。だが、決勝ではトゥルーリに前に出られてようやく8位。昨年のルノーの速さ、強さはどこにも見られない。BMWとルノーの差はどこから来るのか?

 理由はひとつではなく複合的だろうが、現象として分かるのはタイヤの使われ方。同じタイヤを使いながらBMWよりルノーの方が傷みが大きいように見える。マシンが滑り、タイヤがしっかりと路面に接地していない時に起こる現象である。それにはサスペンションと空力効果(ダウンフォース)の影響が大きいが、あるいはタイヤにドライバーの走りが合っていない(合わせ切れてない)ことも考えられる。

 いずれにしてもスペインGP前に開催地カタルーニャ・サーキットで行われる合同テストでどれだけルノーが軌道修正して来るかがキー。ルノーが立ち直れば、中団の戦いもいまよりずっと面白くなる。ただしその分、日本勢が苦しくなるわけだが……。

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