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すでに始まっているレアルの来期構想。 

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鈴井智彦

鈴井智彦Tomohiko Suzui

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photograph byTomohiko Suzui

posted2005/05/11 00:00

すでに始まっているレアルの来期構想。<Number Web> photograph by Tomohiko Suzui

 ほんと、しつこい。そんな男は嫌われるというけれど、レアルはしぶとい。執念深いというか粘り強いというのか、バルサに食いついている。でも、バルサとレアルの追いかけっこも、ぼちぼちゴールだ。たぶん、バルサは無冠ともおさらばだ。長い、長いトンネルだった。前回、バルサがリーグ優勝したのは、まだフィーゴがバルサを裏切る前だったから――。

 「もし、バルセロナがバレンシア戦をしくじらなければ、ボクたちのリーグはまた今度ということになるね」。悲しいけど、カシージャスの意見はごもっとも。

 「もし、バレンシアがバルサに勝てなかったら、レアルの優勝はサヨナラだ」なんていうパボンもミラクルは信じていないみたいだった。

 誰でも、バルサ優勝への足し算はできる。

 5月8日、バルサはバレンシアにいつものリズムで2−0の勝利を決めた。前半にロナウジーニョとエトーのゴールが決まると、あとは淡々とゲームを進めるだけ。バレンシアの作戦ミスも手伝った。ルフェテとバラハを控えにして、経験の浅いシソッコとファビオ・アウレリオを出場させたのではバルサに立ち向かえるわけがなかった。後半残り15分あたりから満席だったメスタージャ・スタジアムには空席が目立つようになった。その後、バレンシアに決定的チャンスは訪れずに終了。90分間を振り返っても、バルサの枠にはゴールの匂いがするボールは飛ばなかった。

 さて、レアルとの差は「6」のまま、第36節へ進む。ラスト3試合。今週土曜日、レアルはセビリアと、バルサはレバンテと戦う。レアルが負ければ、その2時間後にレバンテで行われる試合にバルサはどんな負け方をしても、胴上げだ。レアルにとって、優勝の可能性はゼロではない。バルサが3連敗を喫してくれれば、ではあるけれど。

 たとえ勝点で並んだとしても、優勝はバルサである。カンプ・ノウで3−0。ベルナベウで4−2。トータルで5−4。もう今週末、勝って胴上げということで。

 さよなら。逆転しないかと、奇跡が起こらないかと祈るほど、スペイン人は片意地ではないみたいだ。諦めは、早い。レアルは、すでに来季の構想を練っている。その点だけでいえば、バルサよりも先を行っているだろう。

 お約束となったペレス会長の「公約」も飛び出している。噂では、2人の偉大な選手と4人のチームの均衡を取れる選手を獲る、と言われている。ビックネームのひとりはサントスのロビーニョだ。まだ交渉中ではあるけども、時間の問題とされている。しかしもうひとりが難航している。これまでの流れ―フィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカム―から考えて名前が挙がるのはアドリアーノ、カカ、シェフチェンコ、アンリ、ジェラード、ランパードあたりか。

 4人の選手たちの顔ぶれもなかなかだ。ベティスのホアキンとアーセナルのレジェスにはかなり前から本腰を入れている。アーセナルはなかなかレジェスを手放そうとしなかったが、最近、値段を提示してきた。さらには、オーウェンが欲しいとも。フィーゴもマンチェスターあたりに飛んでいきそうな気配が漂っているから、アンダルシアのふたり、ホアキンとレジェスの獲得は悪い話ではない。むしろ、すごい。

 それに加えて、守備陣強化の構想も。そもそも、すっかり忘れ去られているウッドゲートは一度もベルナベウに立たなかった。ドクター・チェックでレアルとの契約を寸前で破棄されたミリートはサラゴサですこぶる元気な姿でいるのに対し、ウッディはずっとリハビリ。しかもすでに外国人枠はサムエル、ロナウド、ロベルト・カルロスの3人で埋まっているのが、悩ましいところだ。ロベルト・カルロスはこの夏にスペインの国籍も獲得できる予定でいるけれど、ロビーニョが来るとなると満席である。スペイン人ではセビリアのセルヒオ・ラモスが候補だけど。さて。

 2005年のレアル・マドリーはリーグで一番の勝ち頭で、ゴール数もアウェーでの勝率も抜けている。ルシェンブルゴが来てからのレアルはリーグ優勝したときのカペッロよりも優れているという。けれども、ライカールトには追いつけなかった。

 5月7日のラシン戦でレアルは5ゴールを叩き込んだ。ビジャレアル戦、レアル・ソシエダ戦と苦しんだゲームが続いたことを思えば、かなり爽快だった。それに、2ゴールを決めたロナウドとバルサのエトーとの差は3ゴールと迫っている。多分、得点王争いだけが、レアルがバルサから奪い取れる唯一のタイトルだろう。きっと、彼らは2年連続の無冠となる。きっと、バルサは裸の王様ではなくなる。6年ぶりに。

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