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ペルー戦での新システムは不発に。
ザックジャパン、成長への足踏み。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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posted2011/06/02 12:00

ペルー戦での新システムは不発に。ザックジャパン、成長への足踏み。<Number Web> photograph by KYODO

試合後に「うまくいかないのも想定内だった。欲しかった情報は収集できた」と語ったザッケローニ監督。「3バックはたった2日間しか練習できなかった。選手3人が1日前に到着するなど、いい状態ではなかった」とこぼした

日本代表の悪癖、バックパスと横パスが再び出てきた。

 受け身に回ると現日本代表の悪癖でもある消極性が顔をのぞかせてくる。

 バックパス、横パスが多くなり、思考回路まで鈍くなってしまっていた。守備でもプレスが甘くなった。

 3バックの左ストッパーに入った伊野波雅彦は「相手の1トップに対してウチは3バック。余った一人を攻撃参加させるかどうかも曖昧だった」と臨機応変に対処できなかったことを悔やんだ。

 結局3-4-3は前半だけで変更せざるを得なかった。

 後半、従来の4-2-3-1に戻して流れはよくなったものの、チームに生じた消極性は完全に消えなかった。シュートも前後半通じてわずか5本に終わっている。

チームが活性化した、森脇良太のひたむきなプレー。

 また、もうひとつのテーマであった新戦力も、強烈なインパクトを残した選手はいなかった。

 この日は西、安田に加えて関口訓充が先発で起用された。遠藤保仁からの縦パスに飛び出したシーンなど“らしさ”は見せたものの、メンバーに生き残るためにはまだまだ物足りない。途中出場した興梠慎三にしても同様だ。

 キャプテンの長谷部誠は「もっと伸び伸びやってほしいと思う」と新しく入ってきた選手に、積極的なプレーを求めるコメントを残している。

 そのなかで強いて評価できる選手を挙げるなら、後半途中に右サイドバックで起用された森脇良太だ。

 アジアカップから帯同して、やっとつかんだ国際Aマッチ初出場。ボールを必死に追い、意地でもチャンスに絡もうとした。「生き残りたい」という意思が強く感じられたプレーだった。彼が入ってから明らかにチームは活性化した。チームにスイッチを入れる役割は最低限、果たせていたように感じた。

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アルベルト・ザッケローニ

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