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青木真也、確信犯のミドルキック。
~寝技師対決をMMAで制す~ 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2009/08/02 08:00

青木真也、確信犯のミドルキック。~寝技師対決をMMAで制す~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

シャオリンを圧倒した青木は、10月6日『DREAM.11』にて、ヨアキム・ハンセンとライト級タイトルマッチを行うことが濃厚となった

“確信犯”の目論見とは何か?

 だが、観客はシャオリンと同じ思いだったようだ。試合が終わった瞬間、会場を満たしたのはため息と罵声だった。彼らが見たかったのは寝技合戦、もしくは“壮絶”“豪快”といった言葉で形容される試合だったのだろう。それでも青木は、マイクを握ると観客を挑発するかのように「いや~、ムエタイって面白いでしょ?」と言い放った。試合翌日の記者会見では「プロとして、ブーイングを浴びる試合になってしまって申し訳ないと思います」と語っているのだが、その前に「競技者としてではなく」と注釈を入れるのを忘れていない。さらに「やっぱり俺は強いんだって再確認できました」とも。

 青木は明らかに確信犯だ。ブーイングを浴びることなど承知で、迫力よりも緻密な試合運びを優先させ、批判の中で開き直ったようなコメントを残したのである。なぜそうしたのかは、普段の青木の言葉から容易に推察できる。彼が目論んでいるのは日本格闘技界の時計の針を、世界基準まで進めることなのだ。

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ビトー“シャオリン”ヒベイロ
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