SCORE CARDBACK NUMBER

戦国時代のカーリング界、
五輪へ向けた期待と不安。
~ブームはソチまで続くのか?~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAFLO

posted2011/06/01 06:00

戦国時代のカーリング界、五輪へ向けた期待と不安。~ブームはソチまで続くのか?~<Number Web> photograph by AFLO

2月の日本選手権でチーム青森の6連覇を阻止し、初優勝を果たした中部電力の市川美余

 4月に札幌でカーリングの新チーム「北海道銀行フォルティウス」の結成会見が行なわれた。オリンピックに2度出場している小笠原歩、船山弓枝らによるチームである。多数のメディアが集まった場内からこんな言葉が聞こえた。

「なんだか隔世の感がありますね」

 言葉のとおり、カーリングを取り巻く状況は変化を遂げた。何よりも、オリンピックを目指し、第一線で活動するチームが大幅に増えた。日本代表として活躍してきたチーム青森をはじめ、青森から離脱した本橋麻里らが立ち上げたロコ・ソラーレ、今年2月の日本選手権でチーム青森を破り優勝した中部電力、富士急がサポートするチーム・フジヤマ、フォルティウス……いまや、多くのチームが存在し、戦国時代の様相を呈している。

 背景にあるのは、カーリングの認知度の高まりである。トリノ五輪で起きたブームはバンクーバー五輪にも引き継がれ、「マイナー中のマイナー」と言われた頃が嘘のような今日だ。メディアで取り上げられることも珍しくはなくなった。フォルティウスの会見をNHKがゴールデンタイムの全国ニュースで伝えたのは象徴的だ。「ソチ五輪へ、フィギュアスケートに次ぐ重点種目と考えています」と語るマーケティング企業の関係者もいる。このように注目が高くなったことで、支援に乗り出す企業が増えたのだ。

チーム数の急増で戦力が分散し、国際競争力が下がる懸念も。

 チーム数の増加は、日本カーリング界にとって大きな意味を持つ。選手が長く現役生活を続ける機会が得られるようになったことだ。経験が問われる競技であるにもかかわらず、環境に恵まれない日本では、20代前半で退かざるを得ない選手が多かった。だが、社会人でも活動できる場ができたことは、競技力の向上や裾野の広がりにつながる可能性がある。

 懸念もある。チームの増加で戦力が分散し、日本のトップのレベルが一時的にでも下がることだ。現在の枠組みでは、国内を制したチームが日本代表として五輪出場権を得る戦いに挑むが、直接のライバル、中国、韓国は手強い。現在の流れを継続、発展させるためには、一にも二にも、オリンピックに出場し続けることが必須だけに、いかに切磋琢磨し、強い日本代表チームを送るかが鍵を握る。

 ソチ五輪出場権をかけた戦いは、今秋から始まる。

■関連コラム► 女子カーリングの未来を担えるか? 注目の新チーム「フォルティウス」。
► カーリング界の流れを変えた、“ママ”アスリート・船山弓枝の再出発。

関連キーワード
小笠原歩
船山弓枝
北海道銀行フォルティウス
ソチ五輪

ページトップ