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捕手起用で迷走する野村監督。
「優勝チームに名捕手あり」の苦悩。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byTomoki Momozono

posted2009/07/27 12:55

捕手起用で迷走する野村監督。「優勝チームに名捕手あり」の苦悩。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

 開幕直後は首位に躍り出るなど絶好調だった東北楽天だが、交流戦を境に順位は下降線を辿り、6月30日からは8連敗。前半戦が終わり順位こそ4位だが、シーズン序盤の勢いは今のところもう、ない。

 なぜそうなってしまったのか? 投手がよくない? そう、やっぱり投手がよくないのだ。野村克也監督のボヤキを聞くからに、投手陣に対する不満が大きい。先発ローテーションが確立できないのも大きな要因だが、なにより監督自身「7回以降のピッチャーがいない」というように、中継ぎの不安定さが、ペナントレースが進むにつれ露呈されてきた。最近では、有銘兼久、グウィン、福盛和男からなる「AGF」が少し話題になっているが、なんだかこれも急場しのぎ、付け焼刃感は否めない。

 ただ、果たして投手陣だけがチームの不振を招いているのだろうか? 野村監督はあえて明言していないが、この低迷には捕手も大きく関係しているような気がする。

嶋基宏、中谷仁、藤井彰人……正捕手が定まらない。

「優勝チームに名捕手あり」

 これは以前、野村監督から直接聞いた言葉だ。今ならば、中日の谷繁元信や西武の細川亨が名捕手と言えるだろう。中日は序盤こそ躓いたが、今では首位・巨人に肉薄する勢いだし、前年度日本一の西武は現時点で3位ではあるが、右ひじ痛で戦線離脱中の細川不在が原因となっていることは確か。名捕手の有無が、チームの趨勢を大きく左右している。

 東北楽天は、嶋基宏、中谷仁、藤井彰人と3人の捕手がマスクを被っている。一般的なイメージであれば、このなかでは嶋が頭ひとつ抜き出ているように思えるが、7月に関して言えば実はそうでもない。スタメンの回数ならば嶋よりも中谷の方が多いのだ。フル出場も、6月は嶋が12試合だったが、7月は22日現在で中谷が5試合と最も多かった。

 また、試合中に捕手が代わる場面が目立った。6月は19試合中5試合だったのに対し7月は12試合。岩隈久志が先発だと必ずマスクを被っていた藤井が7月19日のオリックス戦でスタメンを外れるなど、捕手起用の混迷は顕著に表れている。

「キャッチャーは肉体的なことで求められるのは、セカンドへしっかりとしたボールを投げるだけ。9割は頭脳ですよ。頭をどう働かせるかですよ」

 眼と頭を駆使してその状況に最も適した答え、つまりリードを導き出す。監督の言う「頭脳」とは、そういう意味だ。対峙した打者を抑えればいい、というだけではない。最終的に、どのようにして試合に勝つか。だから、場合によってはあえて四球を与える場面さえあるわけだ。

ミスが目立つリードに野村監督もボヤき続ける。

 そう感じたシーンが、7月に2度あった。

 ひとつは7月3日の西武戦。この日は田中将大と嶋のバッテリーだった。田中は序盤から好調だったが、8回、1死二塁の場面で中村剛也に同点弾を浴びたのをきっかけに逆転を許した。

 この時の配球である。中村に打たれたのはカウント2-2からの真ん中やや低めのスライダー。これは打った中村を褒めるべきだが、ゲームの終盤、しかも一塁が空いている状況で勝負を焦りすぎた。次の打者の併殺を視野に入れ、四球やむなし、とぎりぎりボールになるくらいの球を求めてもよかったのではないか。試合後、野村監督も「変化球は低くが基本。あそこまで飛ばされるということは投げたほうが悪い」と、あの一球をボヤいた。

<次ページに続く>

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