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ファビオ・カペッロ 「レアル・マドリーへの遺言」 

text by

宮崎隆司

宮崎隆司Takashi Miyazaki

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photograph by

posted2007/07/12 23:48

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[独占インタビュー]ファビオ・カペッロ 「レアル・マドリーへの遺言」

クリスティアーノ・ルイウ=インタビュー

interview by Cristiano Ruiu

宮崎隆司=翻訳・構成

translation by Takashi Miyazaki

──3年にわたり無冠だったレアル・マドリーを率い、就任1年目でリーガ優勝を達成。一定の責務は果たしたはずですが、首脳陣が下した決断は「解任」でしたね。

 「私は解任されると100パーセント確信していた。だからそこに驚きはなかったよ」

──そこまでの確信を持った理由とは。

 「私もこの商売を長くやっている。状況から未来を見通す術は身につけているつもりだ。この1年を過ごすなかで、クラブ首脳陣と私との距離は日毎に遠ざかっていった。リーガ優勝の直後は特に顕著だったよ。会長のカルデロンは私に対し、来季に向けた言葉を何一つ伝えてこなかった。それだけでも、私の解任は察するに余りあるだろう?」

──とはいえ、ミスターは憤りに近い感情を抱いていらっしゃるんでしょうね。

 「この世界には感情や感傷が入り込む余地はない。私にとってサッカーは仕事であって、ロマンではないのだ。私はプロの監督であり、結果的にカルデロン以下、レアル首脳陣に認められなかったのだとしても、成し遂げた仕事には揺るぎない自信を持っている。

 唯一残念に思うことがあるとすれば、それは来季CLの指揮を執れないことだ。4年ぶりとなるリーガのタイトルも素晴らしいものだったが、6シーズンぶりとなるCL制覇はさらに大きな喜びであったはずだ。だが、その偉業に挑む機会を私は奪われてしまった」

──ミスターの解任直後、アリゴ・サッキはこう述べています。「美しくプレーしてこそ人々の記憶に残る。どんなに勝利しても、美しくなければ忘れ去られるものなのだ」と。

 「それは違う。ミランで勝利したからこそ、人々はサッキの名を覚えている。いくら美しくとも、積み上げた勝利がなければ、彼を覚えている者など一人もいないのだ。

 就任1年目の私には勝利が義務付けられていた。『チームを作る』。この意味を多少でも知っていれば、すぐに華麗なサッカーを求めることなどできないことは明白だ。だが、来季は別だった。CLを制するためのプランは既に出来上がっていた。そしてそれは同時に、マドリッドの街が求めるスタイルにも合致するものだったのだが……」

──華麗なカペッロのサッカー……。何だか矛盾するような気もしますが、具体的にはどのようなサッカーなのでしょうか。

 「私はクビになったのだ。来季のレアルについて、具体的な回答は差し控えるべきだろう」

──最終的には解任となりましたが、一方で、ミスター自身が辞任を決意された瞬間があると聞いています。CLのバイエルン戦(2ndレグ=3月7日)に敗れた直後のこととされていますが、事実でしょうか。

 「あの敗戦後、最悪の状況に陥っているチームを前にして、私は確かに辞意を伝えたよ。『君たちが自らのポテンシャルを信じられない以上、責任を負うべき私は監督を辞するより他にない』。私はそう選手全員に言い、カルデロンの下へ向かったのだ」

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