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“破壊王子”橋本大地の
苛酷な旅立ちと将来性。
~デビュー2カ月を振り返る~ 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/05/23 06:00

プロの洗礼を次々と浴びる橋本。デビュー戦となったゼロワン10周年記念興行では、蝶野正洋に痛烈なケンカキックを決められた

プロの洗礼を次々と浴びる橋本。デビュー戦となったゼロワン10周年記念興行では、蝶野正洋に痛烈なケンカキックを決められた

 デビュー戦を前にこれほど騒がれた新人も珍しい。ただ、実力は素人も同然なのに、対戦相手は強敵ばかり。18歳の旅立ちにしては気の毒だった。

“破壊王”の異名をとった故・橋本真也さんの長男、橋本大地のことだ。初マットは、3月6日、両国国技館でのゼロワン創立10周年記念興行。相手は父の盟友、蝶野正洋。結果は13分38秒、蝶野の十八番STFに屈し、黒星スタートとなった。

“破壊王子”こと大地が高校を卒業した翌日、大震災が東日本を襲った。重苦しい空気の中で行なわれた3月21日の全日本・両国大会で2戦目のリングに上がる。組まれたのは、もう一人の“闘魂三銃士”、武藤敬司とのシングル戦だった。武藤の必殺技シャイニング・ウィザードを繰り出すも奮戦及ばず、最後はムーンサルト・プレスを食らって、完敗に終わった。

 3戦目は3月27日、靖国神社相撲場で催された奉納プロレス。大谷晋二郎とコンビを組んで臨んだ初のタッグ戦で、父の宿敵、“皇帝戦士”ビッグバン・ベイダー、ジェシー・ホワイト親子とあいまみえたが、彼らの圧倒的パワーに歯が立たず、16分32秒、ベイダーのビッグバンクラッシュの下敷きとなった。

親代わりの大谷社長は「親父譲りの闘魂の持ち主」と太鼓判。

 4月28日には、アントニオ猪木の主宰するIGFに初出場。再び大谷とコンビを組み、藤原喜明、稔組と激突した。大地はスピードあるミドルキックの連打で藤原を泳がせ、果敢に攻め立てるも、途中で息切れ。藤原のワキ固めにつかまって、13分57秒、悔しい逆転負けを喫した。

 だが、孫のような大地と戦った藤原は、「最初、なめてかかったらいいのを食っちゃったよ。最後まで向かってくる姿勢はいいね」と、そのやる気を高く評価。試合後のインタビューでいつも「大地、大きい声で受け答えしろ」と活を入れる親代わりの大谷社長は「まだまだ未熟だけど、ハートだけは強いから大丈夫!」と語り、「親父譲りの闘魂の持ち主」と太鼓判を押す。

 この間、北海道での初巡業も経験、ポッと出の新人が2、3年を経てこなす修行を、2カ月足らずでやらされてきた。「シングルで勝ちたい」とポツリと漏らした“破壊王子”。180cm、80kgのか細い体は着実に成長している。蝶野の言葉を借りれば、「一人前になるには、ケガと、オ・ン・ナが怖い」――。

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