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野修(スキー・モーグル) 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph by

posted2005/03/03 00:00

SPECIAL FEATURES

[ATTHEFRONT]上野修(スキー・モーグル)

松原孝臣=文

text by Takaomi Matsubara

 表彰台が確定した瞬間、会場に歓声が湧き起こった。2月5日、モーグルW杯猪苗代大会。なにしろW杯での表彰台は、日本チームとして2年ぶり、男子でいえば3年ぶりだったのだ。チームメイトの手による胴上げで何度も宙に舞ったのは、W杯遠征メンバー入りし3シーズン目を迎える上野修である。

 「僕はノミ心(ノミの心臓)なんで……成績がほしいとか一発やってやると思うと緊張して空回りしちゃうんですよね」

 しかしこの日は違った。スタートに立ったとき、スムーズに行けるイメージが湧き上がった。すると、全日本の高野弥寸志ヘッドコーチいわく、「世界最先端のスキーテクニック」を駆使、縦に縦にとコブを攻めた。2つのエアも決め、ミスなく滑り終えた。その結果が3位だった。

 アルペンの伝統を誇る長野県野沢温泉村に生まれる。兄、姉に続き、ごく自然とアルペン競技に。だが中2のとき、モーグルの面白さを知り、周囲の反対を押し切り転向する。高校卒業時にはスキーを続けることについて、父と「けっこうな話し合いをしたけど、丸め込んで」(笑)、競技を続けてきた。柔和な表情、優しい物腰とは裏腹に、思慮深さ、意志をしっかり通す面ももっている。

 1年後には、トリノ五輪が待ち構える。

 「オリンピックはずっと頭にあったし、そこを目指してやってきました。でも今まではぼんやりとしていたんですが、今回の成績ではっきりしてきました」

 猪苗代大会の翌週、新潟・苗場大会でも決勝進出を果たし11位。だが、「だめですね。こんな滑り、成績では全然満足できません。まだまだです」としきりに反省していた。

 3位という経験が、上野に自信を与え、「さらなる上へ」の意識を高めたのかもしれない。

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