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世界スプリントで若手が手にした成果と課題。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2005/02/17 00:00

 短距離世界一を決めるスピードスケートの世界スプリント選手権(1月22、23日・米ソルトレークシティー)で小林正暢(山形県体協)と吉井小百合(三協精機)がともに総合4位に入った。メダルには手が届かなかったが、1年後に迫ったトリノ五輪への手応えという意味では十分に成果はあった。

 世界スプリントは500mと1000mを2日間で2回ずつ滑り、その総合得点で順位を競う。しかし、五輪は500mが2レースの合計タイムで、1000mは一発勝負で争うので、今回のような両種目の総合順位はあまり参考にならない。単種目ごとに見ていくと、小林は得意の1000mで初日に1分8秒28の日本新を出して3位に入っている。吉井も初日に500mで日本記録に0秒01と迫る37秒74を出して1位となり、2日目も37秒91で3位に食いこんだ。吉井はその時点で総合2位につけたが、1000mが8位だったため、総合4位に後退した。もしこれが五輪だったら500mでは表彰台に上がっていた。

 この2人に共通していた課題は、大舞台での経験不足だった。小林は'03年に先輩の清水宏保(NEC)と合同で夏季練習を行い、技術的なことはもちろん、精神面や生活面でも指導を受けた。その効果はてき面で、翌'04年2月のコラルボ大会で念願のW杯初勝利を挙げ、一気にブレークした。実力的には十分トリノでメダルに手が届く位置にいる。だが、小林自身は好成績に浮かれることなく「トリノで結果を出すためには大舞台での経験が足りない」と冷静に自己分析をしていた。そこで今回の世界スプリントを「模擬五輪」と位置付け、本番同様の調整に努めた。総合でのメダルこそ逃したが、世界のトップが競う大舞台を経験できたことは、何ものにもかえがたい財産となったに違いない。

 20歳の吉井の滑りは怖いもの知らずという言葉がピッタリだった。緊張よりも「こんな大舞台で自分が滑れた」という嬉しさが全身からあふれ出ていた。トリノでも今回のように伸び伸びと滑れればメダルは間違いないが、五輪のプレッシャーはそんなに生易しいものではないだろう。

 大舞台での好成績という今回の経験をどう生かしていくのか。2人の今後のレースに注目したい。

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