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残留争いの渦中の日本人選手たち。
ヴォルフスブルク・長谷部の想い。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byItaru Chiba

posted2011/05/07 08:00

残留争いの渦中の日本人選手たち。ヴォルフスブルク・長谷部の想い。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

第32節の対ブレーメン戦で後半21分から途中出場し、1-0の勝利に貢献した長谷部

マガト監督が施した緊急措置で息を吹き返した最終盤。

 守備に目を移せば、残り5分を過ぎてからの失点で勝ち点を失った試合が4試合もある。守備での粘り強さは完全に失われていた。

 勝つべき試合で、勝ちきれない。1点を守りきるべき試合で、守りきれない。そのために勝ち星は増えず、逆に引き分けが増えた。8つの勝ち星はリーグ最少タイで、11の引き分けはリーグ最多タイだ。

 3月にやってきたマガト監督は、2トップに長いボールを当てて攻撃するように徹底させた。その上で、ディフェンスラインを上げて、全体をコンパクトに保つ。トップ下のジエゴを含めた前線の3人の能力を活かすため、そして失点のリスクを減らすためだ。

マンジュキッチがエースFWジェコの穴を埋めた!

 昨季のリーグ得点王であるジェコが去ってからは頼れるFWが不在だったが、ここに来てマンジュキッチが調子を上げてきた。

 今季から加入したが、前任のマクラーレン監督のもとではサイドで起用されることが多かったクロアチア人FWは中央で起用されることで、実力を発揮できるようになった。開幕から7カ月が過ぎようとしていた3月12日に初ゴールを決めると、出場停止だった1試合を除き、そこからの5試合で5ゴール。プレーには自信がみなぎり、前線の核となりつつある。

 また、ロングボールが増えるにつれて、低い位置でボールを奪われるシーンが減った。ボールを失ってからすぐに反撃を受けることが少なくなったのだ。ヴォルフスブルク陣内ではある程度、守備が整っている。失点の可能性は少ない。

 第31節のケルン戦では、相手のまずい守備にも助けられたが、ロングボールからの攻撃が上手く機能して4対1でマガト監督就任後はじめて勝ち点3をつかむと、翌週のブレーメン戦では相手に終始ボールを支配される苦しい展開だったが、前半に奪った1点を守りきって、連勝を決めた。ブレーメン戦では、終盤に相手がパワープレーで挑んできても、粘り強い守備でゴールを割らせなかった。かつての1点を守りきれないチームの面影は見られなかった。

【次ページ】 長谷部、岡崎、槙野……チーム残留争いの軌跡。

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