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危機の中で現れた、
個性派力士、山本山。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

posted2008/10/23 00:00

 朝青龍と白鵬、両横綱による青白時代は短命の様相を帯びてきた。

 先場所に続き、白鵬が独走で優勝。連続の全勝優勝こそ逸したものの、余裕を持っての横綱相撲を見せ、相手のどんな攻撃にも柔軟に対応できる懐の深さには、ただ脱帽するしかなかった。離れてよし、組んでよし。横綱の重責を楽しむかのように勝利を重ねる姿には、相撲界のリーダーたる自覚と自信が満ちあふれていた。横綱昇進後の8場所で早くも5回目の優勝であり、九州場所を待たずに年間最多勝も確定させた白鵬は、弱冠23歳にして円熟味を見せ始めた。

 一方、朝青龍はよもやの連続途中休場。先場所痛めた左肘が完治していなかったようだが、その凋落ぶりは目を覆うばかりだった。全盛時が嘘のような負け方には、引退の二文字も囁かれた。場所前、急に徹底された立合の手つきに対応できず、空回り。その相撲を支えてきた生命線の、激しい闘志や勝負への執着心にも翳りが見えた。しかし、朝青龍は、力が最も出るはずの28歳になったばかり。復活はイバラの道だろうが、その圧倒的な存在感を今一度示して欲しいものである。

 秋場所は、そんな危機感に満ちた異様な雰囲気の中で行われたが、そこに何ともユーモラスな「超個性派」力士が登場した。その力士の名は、新十両の山本山龍太。場所前の体重測定では、なんと日本人歴代最重量の252kgを記録。身長も191cmと高く、まるで巨大風船のような身体である。聞き馴染みのある四股名に加え、その巨体を活かした迫力満点の取り口、さらにその気さくな人柄が好評で、ファンのハートをがっちり掴んだ。高見盛以来途絶えていた久々の個性派出現に、十両土俵入りではどの力士よりも大きな歓声と拍手を浴びていた。

 前に前にと圧力をかけ、重戦車のような勢いで初日から6連勝と快進撃を続けたが、さすがに終盤戦は、初めて味わう15日間の長丁場に疲労困憊。食が細って動きが鈍ったが、9勝6敗の成績を挙げ、大いなる可能性と話題を振りまいた。

 小学2年で相撲を始め、埼玉栄高校、日本大学という強豪校で実績を残し、昨年初場所初土俵。入門後は、体重曲線同様に番付を上げてきた。「食ったら太るんで」とマイペースの山本山。来場所の相撲と体重が今から楽しみである。

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