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日本代表戦を見ながら新年の「金言」を思う。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2009/02/12 00:00

 正月恒例の高校選手権や大学選手権を取材していて、いつも思うことだが、これらの大会に出場するチームの監督には、しゃべりのうまい人が多い。学校の先生が多く、人前で話し慣れているせいか、それぞれ独自の持論をこちらにおもしろく聞かせてくれる。

「ボールを持っているかどうかで、試合の主導権が決まるわけではない」

 そう話してくれたのは、野村雅之・作陽高監督である。野村の考える、どちらが主導権を握っているかを見極めるポイントは、「前を向いている選手の数」。つまり、どちらのチームの選手がより多く前を向いているかを見れば、今どちらのペースで試合が進んでいるかが分かる、というのだ。

 また、風間八宏・筑波大監督はこんなことを話していた。

「スペースを探すのではなく、人(マーク)を外せなければならない」

 攻撃を組み立てるうえで、スペースを使うのは常識。だが、それにとらわれすぎると、しっかりと守備組織を作ってくる相手に対しては攻め手がなくなる。スペースに頼るのではなく、ドリブルや足元での速いパスワークなど、相手が近くにいてもブレない技術を身につけなければならない、ということである。

 そんな彼らの言葉がストンと腑に落ちたのが、アジアカップ予選、日本対イエメンの試合を見ていたときだ。

 確かに、日本は圧倒的にボールを支配していた。だが、前線の選手は後方からのパスを受けようと、自然とゴールを背にすることが多くなる。それに対し、全員が自陣で待ち受けるイエメンは、前を向いている選手の数で日本を上回った。つまり、多くの時間で主導権はイエメンにあった、と見ることができる。

 また、緩急差のない単調な攻撃では、敵陣に相手を押し込むことはできても、マークを振り切ることができない。自然とゴール前で人口密度が高くなり、スペースは失われた。そんな状況を打開しようにも、あまりにミスが多すぎた。

 目に映る漠然とした現象が、言葉によって整理された結果、日本苦戦の理由がより鮮明になったような気がした。

 新年早々の取材で得た「金言」の数々。それらにあらためて納得させられた、日本代表の'09年初戦だった。

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