岡田ジャパン試合レビューBACK NUMBER

キリンチャレンジカップ2009 VS. フィンランド 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2009/02/06 00:00

キリンチャレンジカップ2009 VS. フィンランド<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 ワールドカップ最終予選における最大の敵であるオーストラリアとの対戦を控えた日本は、1週間前のアジアカップ最終予選バーレーン戦での完敗という嫌な流れを断ち切る必要があった。その意味で、2月4日のフィンランド戦で5-1の勝利を収めたことはプラスに作用したに違いない。

 1月のアジアカップ予選2試合をケガの影響で見送ったMF遠藤保仁が復帰し、日本の試合展開にペース・コントロールが戻った。しかも、今回はガンバ大阪のチームメイトMF橋本英郎の存在を得て、遠藤は自由に気兼ねなくプレーできていたように見えた。77分間の出場ながらも、試合勘を取り戻すにはいい機会だっただろうし、彼らのあ・うんの呼吸によるプレーで、2列目でプレーしたMF中村憲剛もより効果的な動きができていた。そうした顔ぶれの中盤が全体の攻撃を活性化し、FW岡崎慎司の2得点につなげた。

 15分の先制点はDF内田篤人から、32分の2点目は中村憲剛からの、いずれも相手ディフェンスの裏を狙ったロビングボールがきっかけだった。そこにスピードと鋭い動きが持ち味の岡崎が飛び出して、決めた。彼の良さが改めて確認できた場面だった。

 岡崎の2点に触発されるように、前半終了直前にはMF香川真司が相手のバックパスに反応してボールを奪い、ディフェンスをかわして3点目を決める。後半に入ると、12分、遠藤のショートコーナーから内田があげたクロスボールにDF中澤佑二がヘディングで合わせて4点目。後半41分には、後半交代出場したDF安田理大が左サイドから切れ込んで代表初ゴールをマークした。

 遠藤は、「今日のようなリズムで出来ればいい試合ができるし、違った面を見せられれば幅が広がる。海外組の合流はいつもギリギリなので、監督が(国内組と)どっちを使うか迷うぐらいの安定性を作ることは大事なこと」と言い、復帰戦に手応えを感じたようだった。

 だが、重要な試合を前にプレー内容を確認するには、この日の対戦相手は物足りなかったのも事実だろう。

 北欧から来たチームは、38歳のベテランMFヤリ・リトマネンを擁したものの、国際Aマッチデー以外での開催に欧州各国でプレーする選手を呼べず、初キャップ4人を含めて代表戦経験4試合以下の選手が先発に8人という構成だった。サイドからクロスを入れてチャンスをつくろうとする場面は何回かあり、身体的な大きさでは長身のオーストラリア勢を彷彿とさせるものもあったが、プレスは甘く、簡単に同じような形で裏を取られてしまっていた。

 しかも岡崎の2ゴールで早々に試合の趨勢が決まり、日本チームが試したかったいくつかのことを十分に試すには至らなかった感がある。そして、歯ごたえに欠ける相手との試合では、出来たことよりも、出来なかったことのほうを問題にすべきだろう。

 3-0で折り返した後半5分、左CKに合わせようとしたFWタルバヤルビと競り合ってGK都築龍太がクリアするが、力なくパンチングしたボールはエリア内にこぼれてMFポロカラの足元に。これをノーマークで蹴り込まれ、日本は3試合連続でセットプレーからの失点を許した。そしてこのCKは、ケガから復帰したばかりのDF闘莉王が攻め上がり、ボールを失って、ポジションに戻りきらないうちに攻め込まれて与えたものだった。

 岡田武史監督は、「GKと競り合っていた選手のマークを外してしまった」と話し、「その前の場面で甘いプレーをすれば失点につながるセットプレーになる」と指摘した。また、これまでの2試合に先発した川島永嗣に代わって出場したGK都築は、「闘莉王との連携が上手くいかなかった」と振り返った。同様の甘さがあれば、オーストラリアに付け込まれることは間違いない。

 指揮官には、浦和でプレーするGKとDFコンビの連携に期待するところもあったかと察するが、試合後には「(川島と都築で)一長一短ある」と話している。大一番を1週間後に控えて、ケガで離脱中の川口能活と楢崎正剛の穴を埋める存在が見つからないという不安要素も浮き彫りになった。

「出来たところと、まだちょっと甘かったところがあった。オーストラリア戦を考えると、もうちょっと厳しくしないと難しい」

「ニアでつぶれる人間がいなかったり、ニアでつぶれても裏がいなかったり……」

「あと1歩遅い、あと1歩戻りきれていない、ここを使われたら危なかったという場面が何度かあった」

 指揮官の口からは、いつになく、問題点の指摘が相次いだ。

 2月11日のオーストラリア戦では、MF中村俊輔ら5人の欧州組メンバーが合流する。この日確認した問題点の修正と、欧州組との融合。時間がない中で取り組むべきことは多い。

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