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15年目のJリーグ開幕。変わらないことの強さ。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTomoki Momozono

posted2007/03/22 00:00

15年目のJリーグ開幕。変わらないことの強さ。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

 15年目のJリーグが開幕した。約9カ月後には、それぞれのレベルに応じた天国と地獄を味わうことになるわけだが、最初はすべてのクラブが同じラインからのスタートである。

 とはいえ、注目度もすべてのクラブが横並び、というわけではない。大抵、開幕時に話題になるのは、変化のあったクラブである。その変化も、大型補強と言われるような大規模なものほどいい。

 今季で言えば、横浜FCがその代表だ。そもそも、J1昇格自体がクラブにとっての変化である上に、久保竜彦などが新たに加わり、その注目度は高い。人数の上ではたったひとりでも、浦和もまた大型補強で注目を集めるチームである。

 当然、変化は躍進を期待させる材料である。ワンチョペ、福西崇史が加わったFC東京には、昨年13位にもかかわらず、上位進出を予想する声が多い。

 それとは対照的に、まったく変化のなかったクラブもある。

 広島は3月3日の開幕戦に、昨季終盤からほぼ不動の11人が先発に名を連ねた。同じメンバー、同じシステムのままシーズンオフをまたぐ、というのは、非常に稀なケースだろう。その分、話題性には乏しく、メディアの注目を集めることはなかったが、その開幕戦では、躍進候補筆頭のFC東京を敵地で粉砕。熟成されたチームの破壊力を見せつけた。

 雑なロングボールは使わずに、DFからでも徹底してパスをつなぐ。それでいて、余計な横パスは少なく、スキあらば、縦にスピードアップするという狙いは、ピッチ上の全員が共有している。それはまさに、“日本人らしい”機動力にあふれたサッカー。短期間では絶対に作り出せない、完成度の高さだった。

 昨季途中、ペトロビッチが監督に就任したとき、広島はJ2降格に片足を突っ込んでいた。コーチ時代にはオシムに師事したこの指揮官は、そんなクラブを残留圏内へ引き戻し、しかも翌シーズンへの布石をすでに打っていたわけである。

 我々はどうしても、派手な変化に目を奪われる。事実、変わるということは、強くなることへのわかりやすい意欲である。だが、変わらないことが、いつも妥協や停滞を意味するとは限らない。

 用意周到に変わらないこと。それもまた強さである。

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