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ACLの戦いに見た、“スタイル”を持つ強さ。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

posted2007/04/19 00:00

 日本勢の戦いぶりに注目し、AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)を見ているのだが、試合の度に、アジアの底知れぬパワーに唸らされている。浦和、川崎といえども、曲者たちは、簡単に勝たせてはくれない。

 浦和が対戦したペルシク・ケディリ(インドネシア)の技術は、お世辞にも高いとは言えないものだった。にもかかわらず、低い位置からでも、執拗に短いパスをつないでくる。ヨタヨタとタイトロープを渡ってくるかのような、無謀さと紙一重の勇敢さは、だからこそ、不気味なほどの主張があった。

 川崎と対戦したバンコク・ユニバーシティ(タイ)にしてもそうだ。圧倒的に押されていても、“ボールを持ったときには”待ってましたとばかりに、生き生きと動き始める。焦りで平常心を失っていた川崎とは、あまりにも対照的だった。

 「練習でもそうですよ。ボールを持つと楽しそう。それがタイのサッカーです」

 そう解説してくれたのは、バンコク・ユニバーシティに所属する“元・Jリーガー”、深澤仁博。先制しながら、カウンターで追いつかれ、金星を逃す無念の結果には、「みんなで攻めに行っちゃって、リスク管理ができない。それがうちの欠点(苦笑)」と、オチまでつけてくれた。

 確かに、彼らのことを手放しに称賛するわけにはいかない。ときには、リスクを避けるために、セーフティにプレーすることも必要だ。少なくとも、日本ではそう教えられている。しかし、その結果、相手のプレスを過剰に意識し、慌ててロングボールばかり蹴ってしまう。日本選手に見られがちな光景である。

 相手がどこであろうと怖がらず、自然体でプレーする。インドネシアやタイの選手たちは、誰に教えられるでもなく、自然と身につけたことだろうが、その姿勢は大いに見習うべきところである。

 '04年まで新潟に所属していた深澤は、J2で対戦していた川崎が、今はACLに出場している事実に、しみじみと言う。

 「日本はサイクルが速いですね」

 だが、そんな見た目の変化の速さに、日本サッカーの中身はついていっているのだろうか。いつのころからか、格下と見なすようになった国との対戦が、皮肉にも、日本に欠けている大事なことを教えてくれたように思う。

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