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ジョーダンが抜擢した、元チームメイトの挑戦。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2007/11/15 00:00

 マイケル・ジョーダン(シャーロット・ボブキャッツ共同オーナー)は昔から、すでに実績がある人よりも、これから才能を発揮しそうな人や会社と組むことが好きだった。長年彼の専属トレーナーだったティム・グローバーしかり、契約したときにはまだ中小シューズメイカーにすぎなかったナイキしかり。

 それを思うと、5月にボブキャッツのヘッドコーチに抜擢したサム・ビンセントは、実にジョーダンらしい選択だった。

 NBAでのコーチ経験はアシスタントコーチ1年だけの44歳。といってもコーチ経験がないわけではなく、南アフリカ、ナイジェリア、ギリシャ、オランダといった海外のクラブチームや国代表、そしてNBA傘下のNBADリーグでヘッドコーチを務め、各地で結果を出してきた。去年夏に日本で行われた世界選手権でナイジェリア代表を率いて決勝ラウンドに進出、アフリカ旋風を巻き起こしたことは記憶に新しい。選手として7シーズンNBAでプレーした経歴もあり、NBAを知らないわけでもない。

 ビンセントを選んだことを批判する人に対して、ジョーダンは「人それぞれ意見はあるだろうが、私は彼のこれまでの実績を見て、むしろ下積みの努力を惜しまないコーチだと評価した」と反論した。

 実は、ジョーダンがビンセントを抜擢するのは今回が初めてではなかった。約20年前、コマーシャルの撮影でジョーダンの母がダンクする場面を演じるスタントが必要だったとき、当時チームメイトだったビンセントを指名したのだ。カツラを被り、ジョーダンの母に扮したビンセントは、ジョーダンからパスを受けてアリーウープ・ダンクを決めていた。

 しかし、今回のジョーダンからのパスは20年前のように簡単にダンクを決められるものではない。チーム創設4年目、過去最高成績が昨季の勝率4割というボブキャッツは、そろそろひとつ上の結果を求められる難しい時期にある。

 それでもビンセントは怖気づく様子もない。それどころかプレイオフ出場を誓い、自らにプレッシャーをかける。

 「自分たちが信じなければどんなことも不可能のままだ」とビンセントは言う。

 そういえば、かつてジョーダンも似たようなことを言っていた。「挑戦せずに諦めることはできない」と。

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