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笑いの戻ったオドムが、頭の星に込めた願い。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2007/11/01 00:00

 いつも通りきれいに剃り上げられたラマー・オドム(ロサンゼルス・レイカーズ)の後頭部に、夏前にはなかった星があった。よく見ると、その部分だけ髪を剃り残してある。専属の床屋のアイディアだという。

 「彼は、今シーズンこそ僕がオールスターに選ばれるって言うんだ。それで頭に星を剃り残してくれた」とオドム。昨シーズンは序盤にオールスター級の活躍をしていたのだが、12月に膝を故障。戦列を離れたことでオールスターも遠ざかってしまった。「頭に星のタトゥーを入れることも考えたんだけど、クレイジーだと言われそうだからやめておいた」と言って、オドムは笑った。

 1年前の今ごろ、オドムには笑顔がなかった。原因は次男、ジェイデンの突然死。去年夏、乳幼児突然死症候群(SIDS)のため生後6カ月半で亡くなったのだ。12歳のときに母が癌で他界、母亡きあと自分を育ててくれた祖母を23歳のときに亡くし、26歳で息子を失った。しばらくの間、左胸に彫ったジェイデンの似顔絵を見ては涙を流す毎日だったという。

 あれから1年たち、オドムには少しずつ笑顔が戻ってきた。

 「自分自身について、精神的な力について学んだ1年だった。今は、とにかく契約の残り期間を終えるだけの強さを持っていたい」とオドム。契約は残り2年。その後は引退も考えているのだと言う。それだけに、今季こそオールスターにという思いが強いのかもしれない。

 この夏のレイカーズ周辺は、コービー・ブライアントのチーム改革要求、トレード要求に始まり、様々なトレードの噂が飛び交った。オドムもミネソタ、インディアナ、フェニックスとのトレードの噂に名前があげられていた。「トレードの噂が出るというのは自分の力が認められた証」と自らに言い聞かせたが、本音のところ、トレードは嫌だった。

 「LAは僕の第二の家。ここで選手キャリアを終えたいんだ」と切望する。何より、もうつらい思いはしたくなかった。

 「これまで十分すぎるほどつらい思いをしてきた。願わくば、コート上でも私生活でも、この先もっと良いことが起こるようにと思っている」

 その希望のしるしでもある頭の星は、しばらく残しておくという。

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