SCORE CARDBACK NUMBER

D・ライトの闘争心を駆り立てる悔しさ。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2007/04/19 00:00

D・ライトの闘争心を駆り立てる悔しさ。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 ひと冬が過ぎても、メッツのデービッド・ライトは悔しさを忘れてはいない。

 「いかに1球1球が意味を持ち、大切なのかがよくわかった。いい勉強になった」

 昨季、カージナルスと戦ったリーグ選手権シリーズのことだ。ライトはそのシリーズで期待を裏切る不振に喘いだ。いい当たりが正面をつく不運が焦りを誘っているようにもみえた。7試合でわずか4安打、打率.160という悲惨な成績が残り、チームもあと一歩で敗れ去った。

 「プレッシャーという感じではなかった。ただ、いつもと何かが違っていた。ちょっとエキサイトしたかな。そういう感情が抑制できなかった。まだ、若いんだね」

 確かに、若い。まだ、24歳なのだ。それでも敗戦の悔しさを新たな飛躍のモチベーションにする術を知っている。スプリングトレーニングでは連日のように早朝練習で汗を流してきた。

 そのライトに新たな可能性を探る動きがある。2番打者構想だ。昨年は、主に5番を任され、レギュラーシーズンでは116打点をマーク、しっかり役割を果たした。それにもかかわらず、ウイリー・ランドルフ監督はオープン戦でライトをたびたび2番に起用した。

 「しっかり出塁ができるし、足もあればパンチもある。魅力的だと思わないかい」

 ランドルフ監督はいう。そして、オープン戦では2番で36打席を与え、ライトは打率.278を打ち、適応力を見せた。

 「ウチはナ・リーグだけど、打線はア・リーグ並みの強力打線。2番を打つことに違和感はない。ホセ(レイエス)が盗塁を狙ってうまくスタートを切ったときには振るなと言われているだけで、あとは昨年までの自分の打撃でいいんだから気楽に打てるよ」

 ライトが2番に座るようになれば、移籍のモイゼス・アルーが5番に入り、昨年まで2番のポール・ロデューカは7番になる。なかなか面白い打線だ。しかも、この新打線になると、レイエスとの黄金の三遊間コンビが、今度は1、2番コンビも組むことになり、戦力面だけでなく人気面でもさらなるアップが望める。

 「昨年の悔しさが晴らせるなら、やれることはやる。2番も面白そうだけど、大事なことはそれだよ」

 敗戦がライトを大人にしたようである。

ページトップ