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トヨタとホンダの参入に、意外な火種あり。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2006/02/09 00:00

 今季、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、昨年までと大きく様変わりする。というのもトヨタとホンダが開発する新エンジンが登場するからだ。これまでF・ニッポンでは無限製エンジンのワンメイク状態が10年以上にわたって続いていた。ここに、F1で熾烈な争いを繰り広げる国内二大メーカーが最新エンジンを投入するというのだ。

 すでに来季参戦予定のチームがどちらのエンジンを選択するか公表されている。それによれば、ナカジマ、ARTA、ダンディライアン、5ZIGENがホンダを。インパル、アーティング、ルマン、コンドー、セルモ、モーン、インギング、トムスがトヨタを選ぶ。ただし各チームに所属する選手の移籍は、選手のメーカー色に加え、鈴木亜久里がF1チーム設立に動いたりしたものだから混乱をきわめ、いまだに大勢が見えてこない。

 それはともかく、問題は2メーカーが投入する新型エンジンだ。実は従来の無限製エンジンは基本設計が約20年前のもので、近年のレーシングカーにとっては重心が高く、それに慣れた選手がもし急にF1へでも進出すれば重心を含めたコントロールの違和感に悩むのではと指摘する声があったのは事実だ。

 その点、今回2社が投入するエンジンは元々アメリカIRLレース用に開発されたものをベースに改良が加えられ、重心その他の仕様は最新で、海外からも注目を浴びるレーシングエンジンである。このエンジンと新しい車体を組み合わせると、1ラップ2秒から3秒以上速くなるのではないかとF・ニッポンを運営するJRPは期待しているようだ。

 しかし問題が残っている。エンジンを供給する2社は「事前テストで同等の性能を確認したうえで供給を始める」と公式には言うものの、その姿勢は曖昧だ。つまり、際限のない性能競争に突入する可能性が残されているのだ。そうなれば、開発コストが高騰し破滅を招くのは見えた話だ。わずかな差が大きな結果の違いを生むほどに洗練された近年のF・ニッポンで、エンジンの性能競争が避けられるかどうか。ファンにとっては「適度な」競争は望むところだが、その競争が果たして自主規制の範囲内で済むものだろうか。異なる意味でも開幕が待ち遠しいわたしではある。

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