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新生F・ニッポンよ、このチャンスを見逃すな。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2006/01/12 00:00

 陸上種目をはじめ、様々な競技の世界記録は徐々に塗り替えられて向上する。人間の肉体がこれほどの速度で進化することはないから、トレーニング方法や道具が科学によって改良されたとしか考えられない状況だ。敢えて言えば、記録を科学が書き換えているのだ。

 それなのに、モーターレーシングは、いまだに「スポーツかどうか」という不毛な問いかけから逃れられないでいる。我が国には、肉体を神聖視し科学を不純と考える奇怪なスポーツ観が根付いており、道具の性能が勝敗を左右する自動車レースは失格ということになるのだろう。そういえば昔、とある冬季オリンピック種目の取材をした際、他国チームがエンジニアを帯同し科学的な分析の下で練習を進めているのに対し、我が日本チームにはエンジニアの姿はなく、ただコーチから与えられた「根性を出せ」という指示だけが拠りどころという有様を見てあきれたものだ。この意識の壁は容易には乗り越えられない。

 とかなんとか言っているうちに、日本のトップフォーミュラである全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの道具が来季全面的に切り替わる。従来使用されてきた車体の発展型が導入される一方、トヨタとホンダが新たにエンジンを投入し、戦況が大幅に変化する気配なのだ。だが、メーカーに気を遣っているのかどうか、せっかく新時代へ向けてプロモーションを展開する好機だというのに、運営団体であるJRPは、来季の具体的な競技運営に関する情報発信にきわめて消極的で、ファンは蚊帳の外に置かれたままだ。

 プロモーション会社を名乗るJRPのプロモーション下手は今に始まった話ではないが、来季より新たに開催すると華々しく発表しただけでその後ダンマリを決め込んでいる新人育成種目、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)の有様を併せて眺めていると、JRPはプロモーション戦略など元々持ってはいないのかもしれないと疑わざるをえない。これではモーターレーシングをスポーツとして外部に認知させることなど夢のまた夢。2メーカーの参入はまたとないチャンスなのだ。日本のモーターレーシングの社会的地位の向上をも考慮したプロモーションが欲しいところではあるのだが。

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