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伏兵の優勝を生んだコース設定の難しさ。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byTaku Miyamoto

posted2007/07/12 00:00

伏兵の優勝を生んだコース設定の難しさ。<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

 今年の全米オープンが開催されたオークモントCCが、モンスター(怪物)と呼ばれてきたのは、200個以上のバンカーや深いラフ、そして、621ヤードのパー5があったからだ。いまの改良されたクラブやボール、身体能力ならば理解できるが、この長さは、1927年の全米オープン時のものである。その後、'94年の全米オープンのときは、598ヤードになったが、今年は、再び632〜667ヤードというとてつもない長いパー5になった。

 この35ヤードの差は、4日間のティーグランドの位置によって変わる。8番ホール、パー3も同じ仕組みで252〜288ヤードだった。

 288ヤードという距離をパー3にしてしまう時代になったのだな、と僕は感慨深げに取材していた。というのも、僕が初めて全米オープンの取材をしたのが、'73年、このオークモントだったからだ。その後、'83年、'94年とここでの全米オープンを取材しているが、13年前は全長6946ヤード、パー71を凄く難しく、長いと感じていた。それが、今回は最大で7230ヤード、パー70という設定だ。

 世界四大メジャーはそれぞれコースセッティングや環境に個性があった。例えば、マスターズは華やかで美しい絵葉書のようなコース。それが絢爛な舞台のようで、まさにゴルフの祭典と呼ばれるに相応しかった。全米オープンは、対照的に舞台というより競技場で、競い合う選手の心臓の音が聴こえるようだった。

 ところが、マスターズも年々距離が長くなり、確かに見た目は美しいけれど、祭典よりは競技性を強く感じるし、全米オープンにいたっては、そのコースの難しさは人間の技量の限界を超えなさいと強いているようにさえ感じた。

 今年のマスターズの勝者が無名に近いザック・ジョンソン。そして全米オープンも、アルゼンチンのアンヘル・カブレラと無名の伏兵が続けて勝った。それは設定や環境が変わり、コースをとてつもなく難しくした変わり目に起こる意外性だと思う。

 ただ、もう一つ意外だったのが、優勝したのが精密機械のような選手ではなく、シャンパンシャワーを浴びたくて表彰式に自ら持ち込んだカブレラのような人間味あふれる選手だったことだ。

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