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史上最年少優勝を喜ぶだけでよいのか。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

posted2007/06/14 00:00

 15歳、高校1年生になったばかりの石川遼君が、男子プロツアーのマンシングウェアオープンKSBカップで優勝した。

 アマチュア選手がプロ競技で優勝するというのは過去にもあって、1980年、倉本昌弘が中四国オープンで優勝している。もっとさかのぼれば中部銀次郎さん(故人)が、'67年に西日本サーキットで優勝したことがあり、倉本はそのシーンを見ていたそうだ。

 今回、石川君がアマのため賞金を受け取れず、優勝賞金2000万円を2位の宮本勝昌が受け取ったことが話題になったが、中部さんの頃は違った。アマ選手が上位に入っても、その賞金はプロ選手にいかない。だから、上位で優勝争いでもしようものなら、あからさまに「俺たちの商売を荒らすなよ」と言われたそうだ。「その一言には、まいった」と中部さんが話していたことを思い出した。

 普通、プロ競技でアマ選手が優勝争いをすると、プロ選手のほうが大きなプレッシャーに襲われる。それは、失うものが大きいからだ。アマに負けたら恥ずかしい、という気持ちが働く。逆にアマ選手は、自分の技量を思い切り出し切ろうという潔さが働く。それで、もちろん大崩れすることもあるのだが、今回の石川君のプレーでは、1打1打を決断する勇気や潔さが輝いていた。

 低迷する日本の男子プロゴルフ界は、思わぬ注目を集め、活気づいたように思える。しかし、逆の見方をすれば、男子プロたちのふがいなさが浮き彫りになったとも言えるのだ。

 活性化を図るには新しいスーパースターの出現しかない、と叫ばれてきたが、それが15歳の背中に重くのしかかるのは、いかがなものかと思う。

 彼は、確かに逸材で、将来性も高い。それは、ミスショットのあとのバンカーからのリカバリーショットをカップに入れてしまう運気の強さも含めてだ。

 しかし、この1勝のあとがどれだけ大変で、乗り越えていかなければならないものがどれだけあるか。

 15歳8カ月のスーパー高校生を“ハニカミ王子”とマスコミが騒ぎたくなる気持ちは十分理解できるけれど、これを機に、もっと日本男子プロを叱咤して、奮起させることの方が大事だと思う。

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