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プレーオフで敗れた天才ガルシアの葛藤。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2007/08/09 00:00

プレーオフで敗れた天才ガルシアの葛藤。<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

 その技量は一流で、生まれながらの闘争心も誰もがタイガー・ウッズと匹敵するか、それ以上と認める。スペイン出身で、ついこの間、引退宣言をしたセベ・バレステロスやその後継者といわれたホセ・マリア・オラサバルの二人が、21世紀を担う後継者として認めているし、まるで末っ子の弟のように可愛がっている。それがセルヒオ・ガルシアだ。

 ガルシアは、全英オープン3日目を終えて通算9アンダーの単独首位に立ち、今度こそメジャータイトルを獲るだろうと思っていた。けれども、最終日の前半にボギーを連発し、アイルランドのパドレイグ・ハリントンに追いつかれて4ホールのプレーオフ。そのプレーオフでも最初のホールで、2打差をつけられ、それを縮めることができずに2位となった。

 ガルシアが、最終日の前半9ホールで、スコアを崩したとき、ふとニック・プライスの言葉を思い浮かべた。

 「メジャーの本当の戦いは、最終日、最後の9ホールなんだ。それまでは、我慢して、自分から仕掛けず、精神をフラつかせることなく、最初のショットはフェアウエイに、ということだけを考える。目の前にあるそのボールしか打てない。それに集中してベストを尽くすと、きっと最後の何ホールかで、いい思いをさせてもらえる」

 ガルシアは、バレステロスとよく比較される。持って生まれた勝負強さ、動物的感覚、天才的な閃きなどが似ていると言われる。プレー中に喜怒哀楽を鮮明にし、ときには、それが爆発して自滅することもあれば、功を奏することもある。

 だから、見ていて面白い。いつプッツンするのか。いつ想像を超えるショットを打つのか。そのあやうげなゴルフが魅力なのである。

 今回のガルシアは、むしろ牙を隠して、できるだけ淡々とプレーしようと心がけたのだと思う。そうやって3日目で単独首位に立った。

 でも、本能と冷静さの折り合いが、土壇場でつかなかったのかも知れない。大人のガルシアとヤンチャなガルシアの狭間で、葛藤している気がする。

 だからこの2位は、彼にとって重要なのだ。天性の財産と、それをうまく使いこなすメンタル。あと一歩で、彼は、もっと強くなると思う。

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