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ドーハに刻まれた、新たなる伝説のトライ。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2007/01/11 00:00

 香港で来年のW杯出場権を勝ち取った“カーワン・ジャパン”圧勝劇(日本54対0韓国、テストマッチ34年ぶりの完封勝利!)から2週間。今度は中東カタールから歓喜の映像が届いた。

 7人制のみが実施されたアジア競技大会(AG)ラグビーの決勝。13年前はサッカー日本代表が悲嘆にくれた同じドーハの同じ後半ロスタイムに、あの日とは逆の嬉しい逆転劇を仕上げてみせたのは出発前「金メダル取ってきます」と笑顔で話した慶大WTB山田章仁だ。12月12日、昼のニュースでは、上体をグイと傾けて相手タックルを擦り抜け、最後はほふく前進しながらも右腕を伸ばし、コーナーぎりぎりにボールを叩きつける姿が繰り返し映し出された。慶明戦の90m独走、早慶戦のPKから速攻3人抜き……今季の国内シーンを代表するトライを重ねてきた山田らしい一撃。

 「アレにはシビれました」とは7人制ジャパンを金メダルに導いた佐野順監督だ。「実は前の晩、ヤツは『もっと繋いだ方がいいんでしょうか』と迷ってたんです。でも『逆だ、お前はフィニッシャーだから行け。そのかわり行ったらトライして帰ってこい』と話したんです」。かくして日本ラグビーの歴史に刻まれる、伝説のトライがまたひとつ生まれた。

 AGは日本ラグビーにとって鬼門だった。W杯予選、アジア選手権と重なるハードな日程に加え、W杯よりもAGを重視する韓国(優勝すると、W杯予選突破でも得られない兵役免除が得られる!)の闘志に、過去2大会は15人制、7人制とも優勝をさらわれた。今大会は7人制のみの実施だったが、日本国内では強豪国を招いて行われていたワールドセブンズも2001年限りで消滅し、強化予算も縮小。茅場町の質素なビジネスホテルが常宿のセブンズ合宿では、所属チームの事情などで予定した選手が参加できなくなった例も数え切れない……苦難の金メダルロードだったが、そのたびに奔走したスタッフ、過酷な日程にも常にポジティブに取り組んだ選手たちを賞賛したい(佐野監督など帰国の翌日、U19アジア大会のコーチとして台湾へ旅立った!)。

 これを機に、ぜひともワールドセブンズサーキットの日本再開催を! そんな実績作りこそ、2015年に向けたW杯招致再挑戦への推進力になると思う。

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