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高反発クラブでないと、本当に飛ばないのか? 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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posted2005/09/15 00:00

 「高反発だから飛ぶ!」を謳い文句にドライバーを販売してきたゴルフメーカーが今、頭を抱えている。

 ルールの変更で、反発力の強いドライバーが規制される『高反発ゴルフクラブ規制』が日本でも'06年から始まるからだ。

 まず、ボールが飛ぶ原理を簡単に説明しよう。ボールがクラブに当たると、衝撃でボールがたわむ。そのたわみが元に戻ろうとするエネルギーが飛距離を生む原理の基本だ。ただし、ボールが飛ぶにはクラブ側の要素も関係してくる。クラブがボールに当たれば、クラブのフェースも衝撃でたわむ。たわんだフェースが元に戻ろうとする力も、ボールの飛距離に加わってくる。高反発のフェースだと、ボールを飛ばす力を強力に補助してくれるというわけだ。

 この規制は'98年、ドライバーの飛距離が伸び過ぎていることを危惧した全米ゴルフ協会が始めたものだ。飛距離が伸びれば、それに合わせてコースを延長しなければならないが、現実にはそう簡単にいかないというのがその理由だ。

 確かにドライバーの飛距離の伸びは凄まじい。'96年の年間平均飛距離のトップは、ジョン・デーリーの228ヤードだったが、'05年の年間平均飛距離のトップは、スコット・ヘンドの318.9ヤードとなっている(8月31日現在)。10年前なら、残り180ヤードで4、5番アイアンを使っていた選手も、7番アイアンを選択でき、それだけ正確なショットでグリーンを狙えるようになった。

 ただ、面白いデータもある。コンピュータで高反発クラブと低反発クラブの飛距離をテストすると、約5〜7ヤードでしか差がないというのだ。ゴルフクラブは、シャフトやヘッド容積の大きさ、重量配分などが総合的に作用して飛距離の源となるから、飛距離の伸びは一概に高反発のお陰とは言えないのである。

 つまり、『高反発クラブ規制』で悩まなければならないのは、実はゴルファーでなく、「高反発だから飛ぶ!」と広告コピーに使い続けてきたゴルフメーカーというわけ。今更、「今の技術なら、高反発でなくとも飛ぶ」とは言えないのだ。

 遠くに飛ばすのはプロ・アマを問わないすべてのゴルファーの夢。ただし、その夢の陰にはメーカーのホンネとタテマエが渾然となって潜んでいるのである。

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