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サッカー界にも忍び寄る
“日本”への過剰な反応。
~原発事故が欧州に及ぼす影響~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2011/05/04 08:00

サッカー界にも忍び寄る“日本”への過剰な反応。~原発事故が欧州に及ぼす影響~<Number Web> photograph by AFLO

ザックの呼びかけによって、地震の経験があるペルージャで慈善試合が開催されることに

 東日本大震災直後の欧州サッカー界の動きは迅速だった。

 欧州サッカー連盟は各スタジアムで被災者を励ますメッセージを掲げ、募金やオークションで支援するクラブもあった。バイエルン・ミュンヘンやスペイン代表はチャリティマッチ開催にも前向きで、今後もサッカー界の支援は続きそうだ。

 その一方で、福島の原発事故に対する不安は、ヨーロッパの人々の間でも日に日に大きくなっている。

 チェルノブイリ事故を間近で経験していることもあり、原子力に対しては元々敏感だ。各地で原発反対運動も起き始め、スイスのバーゼル州は「欧州でも活発な地震帯に位置する」と、近郊のフッセンハイム原発の運転停止を仏に要請するなど、国際問題にも発展している。

 日本の放射能汚染への不安も高まってきている。CL準々決勝、インテル対シャルケの試合を視察にきた日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は、試合前に地元テレビのインタビューを受け、「震災後に日本に帰ったらしいが大丈夫なのか?」と何度も尋ねられるなど、やや行き過ぎた反応も。ザックは「大丈夫。震災後にも日本に戻ったし、4月末にも行くよ」と平然と話していたが、欧州と日本では放射能に対する温度差も大きい。

欧州でブーム真っ只中の日本食産業に与える影響は?

 また、日本食材に対する放射能汚染の懸念もでている。事実、欧州連合は4月上旬に日本からの輸入食品の放射性物質検査の基準を引き上げ、検査の強化を決定。日本食品に対し原産地や安全証明の書類添付を義務づけている。

 いま欧州は日本食ブームの真っ只中。バルセロナの日本食レストランでは選手の姿も多く、プジョルやシャビなどは頻繁に訪れる常連でもある。しかし放射能汚染に対する不安が消えなければ、客足が遠のくどころか、海外の日本食産業全体に与える影響も大きくなるはずだ。

 そんな中、バルセロナの日本総領事館はバルサのサンドロ・ロセイ会長ら幹部を日本食レストランに招待することを決定。震災後に総領事がカンプノウに招待されたことに対する返礼とのことだが、そこにはスペイン人から「日本食」に対する不安を取り除こうとする思いも見える。

 今後、日本は欧州の支援への感謝と共に、サッカー界にも忍び寄る過剰な反応を解消する動きが求められるはずだ。

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