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今季、真価が問われる
上村愛子のメンタル。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2008/12/18 00:00

今季、真価が問われる上村愛子のメンタル。<Number Web> photograph by Shino Seki

 冬が到来し、海外へ出発するウインタースポーツの選手が目立つ。11月末には、モーグルの上村愛子が最終合宿のためにフィンランドへ向かった。上村にとって今季は重要なシーズンとなる。

 昨シーズン、上村は自身初のワールドカップ総合チャンピオンに輝いた。日本のスキー競技では、荻原健司らに続く史上6人目の快挙だった。しかも、最初の優勝となった2月の猪苗代大会から最終戦まで5連勝。強さは際立っていた。

 好成績の要因には、ターン技術の進歩があげられるが、トリノ五輪後に日本代表チーフコーチに就任したヤンネ・ラハテラ(フィンランド)の存在が大きかった。ラハテラは長野五輪で銀、ソルトレイクシティで金メダルを獲得した実績はむろんのこと、滑りの技術は世界一と誰もが認めるスターだ。世界最先端の技術を教わった効果は絶大だった。

 ラハテラがもたらしたのは、技術ばかりではなかった。

 「ヤンネは世界のトップにいた人。その経験、プレッシャーへの対処法は、聞いていてすごく参考になりましたね」

 上村は、かねてから課題を「メンタル」と口にしていた。メダルを狙える位置にいながら6位に終わり、「本当に自分は弱い」と語ったソルトレイクシティ、「大きな試合ではどうしても緊張が倍くらいになって」と5位の成績を振り返ったトリノ五輪。もてる力をいかにして出すかが大きな壁だった。

 壁を越えたのが昨シーズンだった。「難しいことは言わないけれど説得力がある」ラハテラのアドバイスをいかし、緊張状態での力の出し方を知ったのだ。

 そして本当に壁を乗り越えられたかどうか試されるのが今シーズンである。休養していたトリノ五輪金メダルのジェニファー・ハイル(カナダ)が復帰。来年3月には、「メダルが獲りたい」と言う日本開催の世界選手権が控える。その中でどのような結果を残せるかは、1年2カ月後のバンクーバー五輪にもつながる。

 開幕を控え、上村はこう語った。

 「自分の滑りをできれば。それだけです」

 他の選手や状況を気にする必要はない──昨シーズンに得た自信と、自分への手ごたえがそこに感じられる。

 ワールドカップは、12月18日、フランス大会で開幕する。

■関連コラム► バンクーバーで輝く進化した上村愛子。 (2009年3月26日)

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