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スキー距離・夏見円が日本人初のメダル獲得! 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2008/04/03 00:00

 ノルディックスキー距離の夏見円(JR北海道)が、悲願のメダルを獲得した。2月27日にストックホルムで行われたW杯のスプリント・クラシカルに出場した夏見は予選を7位で通過。準々決勝、準決勝も突破し、6選手で争った決勝でも終盤に追い上げ、見事3位でゴールした。五輪、世界選手権、W杯を通じて日本選手が表彰台に上がったのは史上初の快挙。距離スキーは欧州勢が圧倒的に強く、体力の劣る日本選手がメダルを獲ることは夢のまた夢と思われていただけに、歴史を塗り替えたヒロインは「言葉では言い表せないくらいうれしい」と喜びを爆発させた。

 夏見は北海道出身の29歳。'02年ソルトレークシティー五輪に初出場し、'06年トリノ五輪団体スプリントで8位に入賞。'07年の世界選手権札幌大会ではやはりスプリントで自己最高の5位に食い込んだ。トリノ五輪後の最大の目標としてきた地元での大会で結果を出したことで、一時は引退を考えたこともあった。だが、「まだやり残したことがある」と現役続行を決意。苦手なスケーティングの向上に力を入れ、見事に今回の快挙に結びつけた。

 全日本スキー連盟をはじめとする強化スタッフの“戦略”も見逃せない。スプリントは5~50kmの長距離をタイム順で争う通常のレースとは違い、距離が1km程度しかない。山道のない都市部でも容易に開催できるため、観客動員やテレビ中継の面で有利とされ、'90年代後半から積極的に行われるようになった。体力の劣る日本選手でも1km程度の距離なら十分戦えると判断した連盟ではここ数年、スプリント種目に重点を置き、徹底した少数精鋭主義で鍛えてきた。文字通り、選手とスタッフが一体となって手にした銅メダルと言っていいだろう。

 今年の日本のスポーツ界は8月の北京五輪一色で、冬季競技はフィギュアスケートを除けば、あまり注目されていない。だが、スピードスケートのW杯で加藤条治(日本電産サンキョー)が2シーズンぶりに優勝。フリースタイルスキー・モーグルでも上村愛子(北野建設)がW杯で日本人初の種目別優勝を飾るなど、トリノ五輪で惨敗した日本選手たちは着実に力をつけている。

 次のバンクーバー五輪まであと2年。少しずつ明るい兆しが見えてきたのは間違いない。

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