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ジャンプ岡部が38歳で
代表復帰できた理由。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2009/02/12 00:00

ジャンプ岡部が38歳で代表復帰できた理由。<Number Web> photograph by Shino Seki

 スキー・ジャンプのワールドカップ(W杯)日本代表に岡部孝信が復帰した。現在38歳、ジャンプの国際大会で戦う選手の中で最年長である。この歳にしてというのも驚きだが、何度外れても再び代表に戻ってくるところに岡部の凄みがある。

 1989年、W杯に初めて出場した岡部は、'94年リレハンメル五輪団体で銀、'98年長野団体で金メダルを獲得。'95年の世界選手権のノーマルヒルで金メダルと、世界のトップジャンパーの一人として活躍してきた。だがその後ルール変更の影響もあり不調に陥る。代表からも外れるようになり'01年2月を最後に長期間、W杯遠征メンバーから岡部の名前は消えた。

 しかし、フォームを大胆にかえたことで復調し、コンチネンタル杯などの活躍で'05年1月に復帰する。'06年には、W杯史上最年長記録となる35歳2カ月と26日で表彰台に上ったほか、トリノ五輪ラージヒルでは日本選手最高の8位入賞。'07年の世界選手権団体では銅メダルを獲得し、史上最年長メダリストとなった。

 だが今シーズンは昨夏の不調などが原因で再び代表落ち。限界もささやかれていたが、いざ開幕すると、国内大会で圧倒的な強さをみせる。昨年12月の開幕戦優勝を皮切りに、1月18日のTVh杯まで9戦7勝。後半の6戦は4勝しているが、日本代表6人も参戦した中での成績だ。「今季は代表を途中でかえない」としていた全日本スキー連盟も、ついに、岡部の代表復帰を決めたのである。

 復活の理由は、夏以降、飛び出しの姿勢を以前の形に戻したほか、新たな筋力トレーニングに取り組んだ成果があげられる。だがそれ以上に、「自分はもう駄目だと思ったことはまったくない」と言う岡部の精神力が大きい。どんな一流のアスリートでも、たいがいは自身の可能性を疑い、迷って苦しむ経験を持つ。岡部にはそれがない。自分はやれると信じきっているから気力に衰えなく、新しい練習方法にも貪欲にチャレンジできる。岡部の最大の才能といってよい。

 W杯復帰戦のバンクーバーでは、風に恵まれず17位だったが、その地で来年開かれる五輪に出場すれば、原田雅彦を抜き、ジャンプの史上最年長選手となる。

 あきらめを知らないベテラン・ジャンパーに、まだ終わりは見えない。

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