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豪雨が明らかにした、WGPの問題点。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2009/05/03 06:00

豪雨が明らかにした、WGPの問題点。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 今年もナイトレースとされたWGP開幕戦・カタールGP決勝は、雨のため大荒れの結果となった。

 最初に行なわれた125ccクラスは、スタート直後に降った雨のため、わずか4周で赤旗中断。ハーフポイントでレースが成立した。続く250ccクラスは、雨も上がりドライコンディションで行なわれたが、本来20周のレースを13周に短縮してスタートが切られた。

 それもこれもモトGPクラスを時間通りにスタートさせるための措置で、レースの公正さより“興行=TV中継”を優先させていると言われても仕方のない進行だった。それにもかかわらず、予定通りにスタートが切られるはずだったモトGPクラスは、ウォームアップ直前に再び激しい雨に見舞われ、レースは異例の翌日延期となった。

ライダーは雨の夜間走行を拒否できるが……

 今年3月にカタールで行なわれた合同テストでも雨が降った。その際に選手たちは「雨の夜間走行は非常に危険。照明の照り返しで視界が悪すぎる。もし雨になったらレースをキャンセルする」という意見で一致していた。今回その意向は反映されたが、レース進行の強引さはどんな形であれレースを開催するという興行側の意思を強く感じさせるものだった。

 カタールは、ヨーロッパとの時差が夏時間でわずか1時間。ナイトレースを行なう興行側のメリットは、ヨーロッパのゴールデンタイムにライブ中継できること。国策として大きなスポーツ大会を招致しているカタールにとっても、WGP唯一のナイトレースという話題性で、世界中に自国をアピールできる。

砂漠地帯の豪雨が、興行優先主義をあぶりだした

 利害が一致している上、カタールGPは決勝日でも数千人規模の集客しかないことからナイトレースが実現した。さらに今大会の順延も可能となったが、以前からあまりにも興行面を優先させていることを危惧する声は多かった。スポーツは多くのファンが楽しめるものであってほしいが、それ以前に厳正なルールの上に成り立つものだということを忘れてはならない。そこがなおざりになってはいないか。

 カタールの年間平均降水量は100mm以下。夏はまったく雨が降らず、4月も雨はほとんどない。そんな砂漠の国を襲ったまさかの豪雨は、近年のWGPが抱える問題点を鮮明にした。

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► レース不況がもたらした、世界への新しい道。 (2009年3月12日)

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