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チャンプ候補の来季が
明るく開けない理由。
~WGPライダー青山博一の苦悩~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2009/09/16 06:00

来季も青山の笑顔は見られるだろうか。日本人ライダーにとってはまさしく受難の時代だ

来季も青山の笑顔は見られるだろうか。日本人ライダーにとってはまさしく受難の時代だ

 WGP250ccクラスで6年目のシーズンを戦う青山博一が、念願のタイトル獲得に向けて着実に前進している。第11戦チェコGP(250ccクラスは10戦目)を終えて総合首位。2年前に開発の止まったホンダRS250RWで3勝を挙げる素晴らしい走りに、あらためて評価が高まっている。

実力よりもスポンサー。経済危機が日本人ライダーを襲う。

 しかし、来季に向けてのストーブリーグでは、大苦戦を強いられている。すでに、総合2位のA・バウティスタがスズキ、3位のM・シモンチェリがホンダ・グレッシーニ、4位のH・バルベラがチーム・アスパー(ドゥカティ)からモトGPクラスに移籍することが決まった。もちろん、青山博一も話題に上るが、いまだに決定的なものはなく、その理由は「日本人だから」という言葉に尽きるようだ。

 つまり、日本人ではスポンサーを獲得できず、契約しているスポンサーもまた、PR効果の高いヨーロッパの有力選手を希望するからだ。バウティスタとバルベラはスペイン人。シモンチェリはイタリア人。昔もいまも日本人の置かれているこうした状況に変わりはないが、世界不況がその厳しさに一段と拍車を掛けてしまった。

 過去、日本人選手の最高峰クラスへの挑戦を支えてきたのは、日本のバイクメーカーである。しかし、経済状況の厳しさとコスト増大の中で、一社、また一社と日本人へのサポートを断念した。

 今年は高橋裕紀がスコット・レーシングから参戦していたが、資金繰りに苦しんだチームは高橋を放出し、資金を持ち込んだハンガリー人ライダーを起用した。モトGPクラスで唯一、日本人選手を支えてきたホンダも、この不況の中でついに力尽きた格好だ。

WGP250ccを制覇してもモトGPは遠ざかる……。

 青山博一の目標は、250ccでタイトルを獲ってモトGPクラスに上がりたいというものだ。数年前にはいくつかのチームからオファーを受けたが、あくまでも250cc参戦にこだわった。今年はその目標に大きく近づいたのに、モトGP参戦の夢が遠ざかるという皮肉な事態になってしまった。

 チャンピオンへの期待が膨らむにもかかわらず、日本人選手の置かれている厳しい状況を象徴する青山博一。タイトル獲得を果たし、訪れる変化に期待したい。

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