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独立して歩む、千葉真子の「集大成」。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2005/09/15 00:00

 真夏の札幌を走る2005北海道マラソンで、千葉真子(豊田自動織機)が2年連続3度目の優勝を飾った。今年2月に佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表の元を離れ、独立してから初めてのレースとなったが、30度の猛暑をものともせずにスタートから飛ばし、見事に2時間25分46秒の大会新で快勝した。

 今回のレース前の練習メニューはすべて千葉が1人で考えて実行した。練習パートナーはトレーナー兼マネジャーの男性が1人いるだけ。至れり尽くせりだった小出門下生の頃とは雲泥の差だ。だが、旭化成の宗兄弟と小出代表の元で学んだ千葉にとって、練習を組み立てること自体はさして難しいことではなかった。

 だが、それを1人で実行するとなると容易なことではない。そこで千葉は5、6月に渡米し、全米各地を回って10kmから20km程度のロードレースを次々とこなした。1人ではつらい練習も、レースとなれば楽しく、しかも自分自身を追い込むことができる。結果を求めるのではなく、参加した他の選手すべてをパートナーに見立てた実戦練習は、物の見事に成功した。

 あらためて暑さに対する適応力を証明した今回のレースで、'07年に大阪で開かれる世界選手権、そして'08年北京五輪への期待も大きく膨らんだが、千葉は「もし私がオリンピックだけを目指す陸上を続けるなら、あのまま小出さんのところにいたと思います。でも、代表選考会だけを目標にして4年間やるというのはちょっと違うんじゃないかなって気がしたんですよね」と首をかしげた。独立を発表した時には「競技人生の集大成として、自分の考えと計画でやってみたい」と話したが、「競技人生の集大成」の意味は五輪や世界選手権ではなかった。「日本はもちろん、世界のいろいろな大会に出て、世界中の人たちに育ててもらう。その中から私らしいマラソンを確立していく」ことが、千葉にとっての「集大成」なのだという。もちろん、五輪をあきらめたわけではない。「その時に狙える状況にあったら当然狙う」のだが、そのためだけに残された競技人生を送るつもりはないということなのだろう。

 29歳のランナーが始めた新たな挑戦。後に続く選手たちのためにもハッピーエンドとなることを信じたい。

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