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世界陸上で不振の短距離陣の課題。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2005/09/01 00:00

 陸上の世界選手権で日本は2つの銅メダルを獲得した。400m障害の為末大と男子マラソンの尾方剛はともに戦前の不利な予想を覆してのメダルだけに喜びもひとしおだったが、逆に活躍が期待されていた男子短距離陣は思わぬ不振に終わった。第一人者の末續慎吾は100mを欠場して200mに専念したが、準決勝でB組の6位(20秒84)に終わり、決勝進出を逃した。33歳のベテラン、朝原宣治は100mで2次予選敗退。高平慎士も200mの1次予選で落選と個人種目はまったくふるわなかった。加えてメダルに最も近いと見られていたリレーも冴えなかった。400mリレーは決勝には進んだものの、バトンパスのミスもあって最下位の8位。1600mリレーに至っては失格と、さんざんだった。

 今季の末續は苦難続きだった。5月の静岡国際後に左ひざの裏側を痛め、ほとんど練習をすることができなかった。例年のように欧州で実戦をこなすこともなく、世界選手権の代表も7月の南部記念でようやく手にしたばかり。しかも足に負担がかからないように筋力と技術をかみ合わせた新しい走法に取り組んでいる最中で、結果は最初から見えていた。

 だが、今回の敗戦は決して無意味ではない。足の状態を考えれば世界選手権自体を見送る選択肢もあったが、末續はあえて出場を選んだ。結果は惨敗だったが、ベストの状態でなければ世界に通用しないということを思い知らされただけでも価値はある。世界の大舞台で屈辱感を味わわされたことで、前回大会の200m銅メダリストというプライドは完全に打ち砕かれた。当然、ショックは大きいだろうが、この屈辱をバネに更にステップアップするだけの力が末續にはある。大事なことは負けを次に生かすことだ。

 同じことは他の選手にも言えることで、高平ら若い選手には特に期待したい。ただし、リレーの惨敗は真摯に受け止める必要がある。確かに400mリレーでは3走の吉野達郎からアンカー朝原にバトンを渡す時に失敗があったが、すでに2走と3走の段階で先頭に大きく差をつけられていた。いくらバトンパスの練習を繰り返しても、個々のレベルを上げない限り、リレーでもメダルは獲れない。何をさておいても、末續に続く世界的なランナーを育てることが急務だろう。

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