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「日本組」の活躍で善戦。韓国の成長に要注目。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2008/05/15 00:00

「日本組」の活躍で善戦。韓国の成長に要注目。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 ソウル西郊、仁川市にある文鶴競技場。'08年ジャパン初戦の舞台は、'02年のサッカーW杯で3試合が行われた巨大スタジアム……ではなく、その裏手にある「補助競技場」だった。

 「この大会でいい試合をしていって、いずれあっちでやれるようにしたいね」

 カーワンHCは、目の前に聳えるスタジアムを見てそう言った。昨秋のW杯では4万観衆の前で戦い、目の肥えたフランスのファンに強いインパクトを残したジャパンにとって、この韓国戦は次のW杯への第一歩。今年発足したアジア5カ国対抗は、毎年最下位が下部に降格しながら対戦を続け、最終的に'10年の優勝チームが'11年W杯の出場権を得るのだ。

 そして、肝腎の試合は39対17。前半は29対0と圧勝ペースだったが、後半は強引なプレーでリズムを放棄。一昨年のW杯予選では54対0、昨年は82対0と続けてきた韓国戦の完封記録も途切れ、カーワンHCも「勝ったけれど嬉しくない」と顔をしかめた。

 日本にとっては課題だらけ。だが韓国から見れば前進だ。その原動力が、先発15人中6人を占めた「日本組」。チーム最初のトライを挙げるなど大暴れのFL劉永男は三洋電機でプレー。SH梁永勲主将はトップウエストのホンダに所属し、「日本の特徴的な動きは韓国内の選手に伝えた。日本に行く選手が増えたことでFWプレー、特にスクラムは進歩した」と話した。トップリーグでは'07年度から「アジア枠」が導入され、各チームは昨季から競うように韓国の有力選手と契約。以前は気迫溢れるプレーを見せながら集中力が切れやすい悪癖もあった韓国だが、NZや豪州など強豪国のトップ選手・コーチがひしめく日本で経験を積んだ選手たちは、母国のナショナルチームに規律とタフさをもたらした。

 運営面を見れば、白人メディアにはペコペコして日本人には高圧的に出る勘違い役員がいまだにいたり、プログラムの表記がハングルのみだったりと、まだ未成熟。だが、自ら海峡を越えた若者たちは、世界のトップ選手とも直に接し、勇気と献身、敵味方を超えた友情と尊敬など、世界共通のラグビースピリットを身につけ始めている。

 日韓ラグビー新時代到来。隣国の代表を、これまで以上に注目していこう。

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