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8月から試験導入決定。新ルールの影響は? 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2008/06/12 00:00

 「スクラムのオフサイドラインが今よりも5m下がる。トップリーグで一番スクラムが強いと自負する我々には大きなルール改正です」

 サントリー清宮克幸監督がそう言えば、

 「相手のモールを倒せるから、ディフェンスは今までよりしやすくなる」

 三洋電機の飯島均新監督も強気に返す。昨季のマイクロソフト杯と日本選手権を分け合った国内2強の指揮官は、互いに「新ルールは我々に有利」と強調して譲らなかった……5月19日、トップリーグの今季日程発表会見でのやりとりである。

 IRB(国際ラグビー評議会)は5月1日、13項目にわたる新ルールを、今年8月からすべての国際試合で試験的に導入すると発表した。主な項目は、?スクラムのオフサイドラインを5m下げる?ラインアウトの人数を自由にする?クイックスローインを自陣側に向かって投入できる?モールを倒す行為の解禁?自陣22mライン前方から持ち込んだボールを直接蹴り出すと蹴った地点のタッチとなる……など。新ルールに積極的な南半球のスーパー14ではすでに採用されており、「10分以上もプレーが連続することもあって、今まで以上にフィットネスが必要になる」(飯島監督)。タッチキックが減り、クイックスローが増えればゲームは途切れない。モールで雪崩れ込むトライを減らす一方、スクラムでは攻撃側に大きなアドバンテージを与え、観客からよく見えるトライを増やし、アピール度を高めようというのが推進派の主張だ。

 新ルールに慎重な欧州からは「点が入りすぎるとバスケットみたいになる」と、ラグビーの独自性喪失を危ぶむ声も出た。スーパー14では、従来のルールのもと昨季4001だったリーグ戦総得点が今季も4000と変わらず、7点差以内の接戦は35から39に増加。欧州の反論は数字上は否定されたが、戦力均衡が前提のプロリーグの現象がアマチュアも含むすべてのラグビーに当てはまるのか? 試験的ルールをいきなり最高グレードの国際試合に導入していいのか? 手続きにも中身にも疑問点は多い。それでも日本協会は高校以上の全グレードでの導入を決めた。是非がどうあれ、世界の流れに乗り遅れるわけにはいかないとの判断だ。

 トップリーグ開幕は9月5日。ラグビーはより魅力的に変貌するだろうか。

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