SCORE CARDBACK NUMBER

若貴・曙と同期の魁皇、綱取り、4度目の正直を。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

photograph by

posted2004/11/18 00:00

 友綱部屋の悲願達成なるか。師匠の友綱親方が夢にまで見る愛弟子魁皇の土俵入り。明治44年に昇進した太刀山以来途絶えている名門からの横綱誕生は、今度こそ正夢となるのだろうか。

 太刀山はその全盛期には、強烈極まりない突っ張りで無敵を誇ったという。攻撃に徹する横綱を示す現在の「不知火型」土俵入りは、この太刀山の型を踏襲しており、もし魁皇が横綱に昇進すれば、本家本元の「不知火型」の約1世紀ぶりの復活が期待される。持病の腰痛という爆弾を抱える魁皇にとって、攻撃相撲を15日間取り続けることが、爆発回避の唯一の道といえる。

 魁皇は、過去に3度の綱取りに挑戦してきた。しかし、途中休場2回と負け越し1回と、いずれも無残な結果に終わっている。前の場所から一転、地獄を味わうパターンの繰り返し。ややスロースターター的なところのある魁皇だが、中盤戦までの見せ場消滅は、あまりに情けなかった。

 綱取りを阻んできた最大の敵は、勝負師らしからぬ優しさや弱気の虫である。後を引きずらないことはもちろん大切なことだが、厳しい敗因分析も忘れるべきではない。今場所こそは土俵の鬼と化し、太刀山を彷彿とさせる絶対的な強さを見せ付けて欲しい。太刀山の突っ張り相撲に対し、魁皇は腰がすわった四つ相撲。相撲の型は違うが、その不動心を受け継いだとき、魁皇のたくましい腰には神々しい横綱が巻かれているに違いない。

 福岡県直方市出身の魁皇にとって、地元九州場所での初の横綱挑戦。昭和以降、大関で4度以上優勝した5人は、これまで全て横綱昇進を果たしたというデータも後押しし、初土俵から101場所を要しての昇進となれば、歴代1位の超スロー出世となる。大相撲のバブル時代を築き、頂点を極めた同期生、曙、貴乃花、若乃花はすでに引退。彼らの引き立て役に回っていた魁皇が、ついにスポットライトを全身に浴びるお立ち台の座を掴めるか。

 昨年11月、実家に帰った際、父誠二さんから「もう横綱にならんでいい」と言われた魁皇。その言葉が本心ではないことは、百も承知のはず。幸い、魁皇のトレーナーは「体の状態が、今は一番いい」と語り、ラストチャンスを万全の態勢で臨めそうだ。32歳の怪力大関の大暴れに注目したい。

関連キーワード
魁皇

ページトップ