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熱戦の裏に大混乱。スーパーGTに異状あり。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2007/11/01 00:00

 10月14日、大分県オートポリスサーキットで開催された第8戦で、'07年度スーパーGTシリーズのGT500年間チャンピオンがARTA NSXに乗る伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組に決定した。11月第1週に富士スピードウェイで予定されているシリーズ最終戦を待たずの決着である。

 日本で最も人気のある四輪レースがスーパーGTシリーズ('04年までは全日本GT選手権)である。しかし、実はその運営を巡っては今季開幕直前になって大揺れし、結局シリーズの運営体制がそっくり入れ替わるという騒動が勃発した。

 原因は前体制の経営失敗により、大人気であるにもかかわらずシリーズが多額の負債を背負い込んでしまったことにある。当初はシリーズの崩壊すら噂されるほどの騒動となったが、運営体制の入れ替えによりとりあえず開幕へこぎつけ、その後も例年に変わらぬ熱戦を展開することができたのは不幸中の幸いであった。

 水面下でのドタバタはともかく、今年のコース上では波乱含みの熱戦が続き、観戦したファンもレースを例年通り堪能しただろう。スーパーGTではその規則上、シリーズ後半になるとウェイトハンディやチーム間の戦力関係を操作するために、速いクルマが故意に上位を狙わない、いわゆる順位調整が行われ、ファンの不興をかこつことも多いが、今季はそうした面があまり露骨に働かず決着したのも幸運だったかもしれない。

 シリーズ全体を考えた順位調整はスーパーGTシリーズのひとつの魅力でさえあるとわたしは考えるが、実はファンの多くはそういう視点を持たずにレースを眺めている。今年はあまり問題にならずに決着がついたから良かったものの、この視点のズレはシリーズが解決していかねばならない大きな課題のひとつである。もっとも、実は基本的なシリーズ経営にもっと大きな問題があったというのはなんとも情けない話ではあるが。

 シリーズは無事閉幕へ向かってはいるが、経営立て直しについては完全な見通しがついておらず、また'09年に予定される車両規則の大変更への準備など、新運営体制は依然として多くの課題を抱えたままである。新運営陣には、大団円に安心することなく今後のシリーズ復興へ尽力を期待する。

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