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65歳青木功が見せた'07年一番の名勝負。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

posted2007/12/28 00:00

 '07年一番の名勝負は? と聞かれれば、文句なく10月の日本シニアオープン選手権の最終日だと思う。65歳の青木功、52歳の室田淳、そして53歳の尾崎健夫のデッドヒートである。この日、青木は8バーディ、1ボギーの65というスコアをマーク。スコアが年齢と同じかそれ以下のエージシュートを達成し、6打差の大逆転で大会史上最年長優勝を成し遂げた。この大会は'94~'97年に4連覇して以来、10年ぶり5度目の制覇だった。

 最終日の土壇場。緊迫した攻防の中、青木のゴルフは65歳という実年齢の領域を超えていた。年齢について「あんまり考えたくもないけれど、何が(若いときと)違うといえば、18ホールの中で、フッと途切れる瞬間がくる。そこでポカがでる」と話していたことがあるが、この大会での青木は、途切れなかった。

 ショットが冴えわたる。集中力が切れない。いやむしろ、ゲームが進むにつれてどんどん集中力が、太く、豊かに束ねられていくようだった。

 まさか65を出すとは……という記者たちの質問に「出たでしょう」と言った。「俺もまだ若いね」という青木の言葉は、まさに実感だと思う。

 65というスコアを公式戦、しかも優勝争いで出して逆転優勝するというのは、通常のツアーの中でも滅多にない。それは、青木が「ゲームを諦めない」からだ。

 「調子が悪くても諦めない。いま自分ができる中で、精一杯のゲームを常にするという気持ちを、ずーっと持ち続けられるかどうか」

 青木は、毎日、インナーマッスルを鍛える努力を忘れたことがない。旅先でも、バッグにかならずトレーニング用具が入っている。ずいぶん前に、アプローチの調子が悪いといって、何時間もアプローチばかり練習していた姿が目に浮かぶ。

 レギュラーツアーよりもシニアツアーが面白いとファンたちが言うのは、プロとして、人間として積み重ねた豊かさの違いなのだろうか。

 「志の違いだよ。もっと世界を見て、自分をそこまで近づけるという志を持って、それを地道にやりとおさなければ。楽をしたいと思ったら終わりだから」

 65歳の快挙も凄いが、年齢に関係なくプレーやゲームだけを見ていても記憶に残る素晴らしい優勝だった。

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